中古住宅の不具合が怖い!建物状況調査・ホームインスペクションの有効活用をして安心した取引をしよう

中古住宅の不具合が怖い!建物状況調査・ホームインスペクションの有効活用をして安心した取引をしよう

 中古住宅の売買は都市部だけでなく地方でも盛んになってきています。空き家バンクに代表されるような既存住宅を売買することで、そこに建っているだけでかかる維持費用をかけずに済みます。また、従来は住宅は新築で購入することがステータスのようになっていましたが、新築物件を購入するよりも中古物件で比較的安価に住宅を手に入れることも抵抗が少なくなってきています。しかし、中古物件には不具合がつきもので、購入者は知らずに物件を購入してしまうことも問題となっています。そこで、この記事では、中古住宅の不具合を回避するための建物状況調査についてご紹介します。


建物状況調査により、専門家が中古住宅の不具合がないかをチェック

建物状況調査は、簡単にいうと住宅の劣化等に詳しい専門家が中古住宅を売却する際に、その住宅に不具合がないかどうかをチェックしてくれるものです。このチェックにより購入者はより安心して住宅を購入できます。このようなチェックがない場合、専門家でないと購入者が不具合に気づかずに取引をしてしまう可能性があります。
一般的な商品であれば、購入者がその商品の不具合・故障について気付くことができますが、住宅はそうはいきません。専門家でないと不具合を見つけることができないものが多いため、注意が必要です。例えば、あるご夫婦が築8年の住宅で外壁が多少汚れている物件を購入したとします。築8年なので外壁が汚く見えて、小さいヒビもあったが入居2年後に外壁塗装メンテナンスをするので問題ないと思い、安価で購入しました。しかし入居しその2年後、メンテナンスを行う際に業者に点検をしてもらったところ、床下にシロアリによる腐食の跡が発見されました。このような場合、入居前or入居後のシロアリ被害なのか判別がつかず、購入者がそのシロアリ被害による修繕費用を全て負担しなければならなくなります。これはあくまで1例ですが、このようなトラブルを回避するために建物状況調査は重要になります。

建物状況調査は2018年4月から運用開始

建物状況調査は、とても大事なものですが、実は義務化されているわけではなく、まだあまり認知普及している制度ではありません。この調査を利用することで、売買後のトラブル回避、購入時の安心できる判断材料として家屋の売買の流通がより活発になることを目的とした制度になります。
2018年4月に斡旋の義務化が施行されたもので、建物状況調査を利用した方がいいですよと、紹介することが義務付けられたものです。建物状況調査をすることを義務付けられたものではありません。

調査方法は目視で行う

 方法は目視で行われ、建物を壊して内部を点検することはありません。(そのため、内部を見ないと調査できない建物の状況はチェックされていないということに注意が必要です。)
1. 外観(屋根、外壁、バルコニーなど)の劣化状況を点検
 *ヒビ、塗装の劣化状況などを点検します。 
2. 家屋内から雨漏りしていないか、床下点検、屋根裏などの点検
 *雨漏りは、クロスの雨染みなどを点検、床下は基礎のクラック、シロアリ被害にあっていないか、屋根裏に雨漏りの跡はないかなどを確認します。
3. 給排水管等の点検
 *水漏れ等がないかのチェックになります。

一般的には1-3までの調査で2~3時間程度かかります。

従来の似た制度「ホームインスペクション」との違い

ホームインスペクションという名称で中古住宅の状況調査を行い、住宅の売買にとっての安心材料として使われる調査があります。これは建物状況調査が2018年に施行される以前からありましたが、その調査会社によって調査内容が違ったもので、住宅についての専門家でない購入者にとっては不明瞭なものとなっていました。そこで建物状況調査として法律で基準を設けることでより普及することを目的とされています。ホームインスペクションという名称のサービスは現在でもありますが、宅地建物取引業法の建物状況調査に準拠しているかを確認してから依頼することが望ましいです。

建物状況調査の費用は戸建て住宅で5~8万円程度

建物状況調査は調査を依頼した方が費用を負担することになっています。一般的には売主が実施する場合が多いです。戸建て住宅では5~8万円程度かかりますが、住宅の不具合による修繕は場合によって100万円などかかることもあり、トラブルを避けるために調査をした方が良いでしょう。また購入者も調査されている物件を購入した方が良いでしょう。建物状況調査の調査項目は決められていますが、業者によってはオプションで追加項目があり、費用を払えばより調査内容がより詳しいものになるようです。

有資格者のみが建物状況調査を実施できる

建物状況調査を行うものはその資格を有したものでなければいけません。建築士のみが受講することができる既存住宅状況調査技術者講習を受け、考査に合格する必要があります。このように専門的な知識を持った者が調査を行なっているため、中古住宅の購入の際には、建物状況調査を行なっているかどうかがプラスの判断材料となります。

まとめ

購入者にとって、気に入った物件があっても、建物状況調査を行なっていない物件ですが、構いませんか?と聞かれても不安になるだけですよね。まだまだすべての中古物件が建物状況調査を行われているわけではありませんが、これからは当たり前のことになります。このような制度があることを理解し、安心した取引を行うようにしましょう。





※この記事はリバイバル記事です。

関連するキーワード


住宅 中古

関連する投稿


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

戸建て住宅はいくつかの種類に分けられますが、建築するときの工法によっても分類することが可能です。 代表的な工法といえば「木造軸組工法」や「木造枠組壁式(ツーバイフォー)工法」、「プレハブ工法」などが挙げられます。 そして、この「プレハブ工法」で建てられた住宅が「プレハブ住宅」です。 また「プレハブ住宅」は、さらにいくつかの種類に分かれており、それぞれ特徴が異なります。 そこで本記事では、「プレハブ住宅」とは具体的にどのような住宅のことをいうのか、そしてどのような種類や特徴があるのかなど、徹底解説したいと思います。


住宅業界で働く人のリフレッシュ方法まとめ

住宅業界で働く人のリフレッシュ方法まとめ

住宅営業や、現場監督など非常に忙しく接客業でもあるためクレームやトラブルも多くストレスを溜めがちです。そこで、休日はどのようにリフレッシュしているのでしょうか?ストレスをうまく発散できない方も、他の方のリフレッシュ方法を真似してみましょう!1人で休日を過ごす方も、友達と遊ぶというものまで、それぞれご紹介いたします。


【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?

【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?

家づくりに携わるうえで知っておきたいことのひとつに「耐震性能」があります。 というのも、日本は地震大国であり、住宅の「耐震性能」を高めることは暮らす人たちの命を守ることにつながるためです。 しかし「耐震性能」の高さはどうすればわかるのでしょうか? 住宅の「耐震性能」には目安となる基準があり、満たしているかどうかで判断することが可能となります。 そこで本記事では、住宅の「耐震性能」がわかる目安について、解説したいと思います。


最新の投稿


住宅会社の事務書類は複雑!見積書・請求書・完工書など

住宅会社の事務書類は複雑!見積書・請求書・完工書など

住宅会社は工事を行う上で、メーカーや施工業者など複数の取引業者がいるため、事務書類も複雑になります。今まで事務職を経験していた方でも、どの書類が何に使用されているのか、全体の流れも把握していない新人は、何がなんだかわからない!という方も多いです。この記事では、住宅会社の取引関係から、まず何を把握すれば良いのかについてご紹介いたします。また、完工書などの書類についてそれぞれご紹介いたします。


【今さら聞けない】事務に必須の「印鑑」まとめ

【今さら聞けない】事務に必須の「印鑑」まとめ

住宅会社の事務に限らず、どこの事務でも印鑑を使用します。社内文書だけでなく、社外との取引関係で契約書、見積書、様々な場面で使用されます。印鑑は法的な効力がありますが、どの印鑑をいつ使えば良いのか、なぜその印鑑を使うのかについて知らないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、会社で使う印鑑の種類や、どの場面で使用すれば良いかについてご紹介いたします。


【体験談】住宅会社の事務職はツラいよ?良いところ辛いところ

【体験談】住宅会社の事務職はツラいよ?良いところ辛いところ

住宅会社の事務員として、実際に働いた感想としては、普通の会社の事務より辛かったです。住宅会社は建設業界であり、建設業の仕事は非常に専門的で、なかなか難しいと言えます。ただ、事務員のスキルが高い女性は少なく、それでいて事務の求人は多いため、スキルを身につければ職に困らないとも言えます。体験した内容から少しでも皆様の参考になれば幸いです。


住宅会社における事務職の種類(総合・技術・営業)

住宅会社における事務職の種類(総合・技術・営業)

事務職はどの会社でも必要な業務を担う重要な仕事です。事務がいることで他の実務が円滑に進みます。住宅会社での事務は、実は様々な業務があります。住宅工事がとても複雑であるだけでなく、営業、施工外注、不動産など様々な業者、お客様とやりとりをするため、連絡だけでも煩雑になります。住宅会社での事務はどのような仕事を行なっているのでしょうか?この記事では大きく3つに分けてご紹介いたします。


【おすすめ資格5選】住宅会社の事務員に役立つ資格はどれ?

【おすすめ資格5選】住宅会社の事務員に役立つ資格はどれ?

事務員が有能であれば、仕事も非常に捗ります。住宅会社の事務としてレベルアップを図りたいという方も多いと思います。しかしただ建築士の免許を取っても、設計士や施工管理技士になるわけではないため、あまり実務では必要とされないかもしれません。そこで、事務として取得してレベルアップになる資格についてご紹介いたします。