営業が使うアプローチブックとは
アプローチブックとは、営業が商談の際に用いる資料などを集めたもののことを言います。住宅は非常に複雑であらゆる事柄が複合的に詰まった商材であり、それらを説明しお客様を納得させるためにはパンフレットなどだけでは足りません。
売れていない営業ほどアプローチブックを使いこなせていないということもあります。アプローチブックを使うことで、お客様の理解度が高まり、商談時間を短縮し、商談内容が充実したものになります。契約後のトラブルなどを回避することにも役立ちますので、アプローチブックを利用しないことは営業の怠慢とも言えるでしょう。
商談の際に、お客様は営業の話を8割くらいは理解していないことも多いです。何となく意味はわかるけど、それが自分にとってどのような影響があるのかはわからないです。例えば、「お客様の生活スタイルであれば、オール電化の方がメリットがあります。このシミュレーションを見てもらうと、月に1万円もお得になります。」と言われたとします。この際にお客様にとっては、実際に本当に自分の生活の仕方とはシミュレーションが違うため、イマイチ理解できません。
そこで、全く生活リズムの違うシミュレーションも2パターンほど提示するとどうでしょうか?それであればより自分の生活に近いシミュレーションが正しいと判断できます。売れない営業は、適当にネットにある資料を持ってきて、お得になるシミュレーションを見せて満足しています。お客様はそこまでバカではなく、適当な資料には騙されません。
このようにアプローチブックは、作る人によって全く質が異なったものになります。お客様が本当にそれで理解できるのか、その説明を聞いたときに「欲しい」と思ってくれるかを考えて資料を作りましょう。
アプローチブックの勘違い
アプローチブックですが、正しく使用できていないがために、あまり意味のないものと勘違いしてしまっている方もいます。なぜこのような勘違いが起きてしまうかというと、会社が作成したもので、営業目線で作られていないということがあります。
■説明パンフレットになってしまっている
営業用に作ったアプローチブックでも、会社のパンフレットを寄せ集め、その上メーカーなどのパンフレットや、HPのトップに出てくるようなわかりやすいイラストを寄せ集めたものがあります。
このようなものは、説明するために少しわかりやすいイラストを取ってきただけになります。お客様から見ても、少し調べたら出てくるもので既視感もあり、なんの説得にもならない資料となってしまっています。
このようなものはそもそも、パンフレットだけでお客様が理解して、お客様が欲しいと思っているのであれば、営業は要らないということです。パンフレットやネットのイラストだけで納得して購入しないからこそ、営業に聞いているのです。それらをまとめた、人間版まとめサイトは必要ではないのです。
■マーケティング部署や業務委託により作られたアプローチブックの欠点
マーケティング部署や業務委託により、営業用のアプローチブックが作られることもあります。このようなものは、前述したように説明用としてはレベルの高い資料になっていることはありますが、営業目線のものではなくなってしまっています。
お客様が欲しいと思えるものではなく、お客様が勉強する際に役に立つ初心者用参考書のようなものになってしまっています。
アプローチブックの作り方
ではアプローチブックはどのように作成するべきでしょうか。単なる説明資料にならず、お客様がその説明を聞いたら心から欲しいと思えるかどうかを意識して作りましょう。
■1.アプローチブックは頭の中でクロージングできるものを作る
営業が使うのですから、営業がお客様に対して商談を始めてから最後のクロージングまで成功するビジョンが描けるものを作りましょう。
実際にロープレを行ってみて、欲しくなるようなものでなければ、そのアプローチブックは意味をなしていないと考えましょう。
■2.お客様が感じる不安要素を消す
お客様が疑問に思う点を全て解消するような作りにしましょう。例えば、ツーバイフォー工法は地震に強いことをアピールしたい場合、ただそれを説明しても意味はほとんどありません。
ツーバイフォー工法による耐震実験や、模型なども有効です。文字だけで説得できないものは、とことん資料を集めましょう。
■3.マニアックな内容は説明しない
あまりにもマニアックで、お客様が気にしていない、クロージングに役立たないものは説明しないようにしましょう。商談の軸がブレてしまい、時間だけを浪費しお客様の集中力がなくなってしまうためです。
■4.模型、サンプル品も持っておく
住宅に関しては、模型やサンプル品といったものも非常に有効です。よく使うものなどは、車に置いておくだけで、いざというときに使うことができます。
例えば、ダメな間取りなどを説明する際に平面の図面だけを用いてもあまり実感が湧く人は少ないでしょう。そこで、模型を用いて実際に人形を歩かせたりすることで、何が不便かをより具体的に感じることができます。
以上のように、アプローチブックを作る際にはお客様が本当に理解することができるかどうかを常に意識して作ってみましょう。