現場監督は、住宅の建築工事で生じる不具合について十分に気を付けなければなりませんが、そのひとつに「コールドジョイント」があります。
「コールドジョイント」は、コンクリート打設工事において、施工上の問題が原因で起こる現象となります。
しかし、「コールドジョイント」とは具体的にどのような現象なのか、また、発生すると品質にどのような影響を与えるのか、よくわからない人も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、「コールドジョイント」とはどのような現象をいうのか、そして品質への影響やその対策について解説したいと思います。
コールドジョイントとはなに?
コールドジョイントとは、コンクリート打設工事において、先行して打設した層と、その後に打設した層が、一体化できないまま分離してできる継ぎ目のことをいいます。
コールドジョイントは、発生している部分が一体化できていないことにより、完成品質に影響を与える可能性のある現象です。
■コールドジョイントの品質への影響について
コールドジョイントが発生すると、完成品質に影響を与える可能性があります。
その影響とは、まず中性化を早める可能性があることです。
中性化とは、通常であれば強いアルカリ性を示すコンクリートが、空気中の炭酸ガスと反応することでアルカリ性を失っていく現象をいいます。
中性化が鉄筋にまで及ぶと、錆びを誘発し、内側からコンクリート破壊しながらその範囲を拡大させるようになります。
そうなると、コンクリートの強度は低下する可能性が高まるのです。
また、住宅の基礎でコールドジョイントが発生すると、一体化できない部分がシロアリの侵入ルートになる場合があります。
シロアリは、わずか0.6mmの隙間があれば侵入できるといわれています。
床下へシロアリの侵入を許すと、木材の食害を受けて建物の強度を損ねる原因となるため、十分な注意が必要です。
■コールドジョイントが発生する原因について
コールドジョイントは、一般的に施工時の問題によって発生します。
通常、コンクリート打設工事は、工場で製造したフレッシュコンクリートを複数台のアジテータ車で運び、現場で流し込みます。
しかし、フレッシュコンクリートは製造直後から硬化するため、先行して打設する層が硬化するまでに次の層を打ち込まなければなりません。
そのため、練り混ぜから打ち終わりまでの時間には基準が設けられており、この時間が守られるよう搬入計画を行う必要があります。
その基準として定められている時間とは以下の通りです。
- 外気温25℃未満:120分以内
- 外気温25℃以上:90分以内
以上の時間を超えると、先行して打設した層の硬化が進んでしまい、打ち重ねたコンクリートとの一体化が図れない可能性が高まります。
その結果として、コールドジョイントが発生することがあるのです。
また、打ち重ねの時間が守られていても、締固めが不十分である場合もコールドジョイントが発生する原因となります。
このケースは施工者の問題となるため、コールドジョイントが生じないよう意識して施工することが重要になります。
住宅基礎はコールドジョイントが起こりやすい
住宅の基礎の多くはベタ基礎でつくられていますが、一部を除き、ベースの硬化後に立ち上がりを打設する「2回打ち」が一般的な方法として行われています。
公共工事の場合、「打ち継ぎ」を行うときは、表面部分のレイタンスを除去し、モルタルやセメントペーストを塗り込んだうえで打設するなどの表面処置を施します。
そうすることで、隙間なく一体化を図れるようになるのです。
しかし、住宅の基礎でこのような「打ち継ぎ」処理が行われることは、それほど多くありません。
なぜなら、鉄筋によって一体化されることで、必要とする強度を保てるという理由からです。
この点は、さまざまな意見がありますが、住宅会社ごとにマニュアルに則って行われる部分となります。
まとめ
コールドジョイントとは、先行して打設した層と、その後から打設した層が一体化できないまま、分離してできる継ぎ目のことです。
ただし、コールドジョイントが生じても、補修など、適切な処置を施すことで深刻な事態は避けられます。
現場監督は、コールドジョイントが品質に与える影響を理解したうえで、会社のマニュアルに則り、正しく対処することが重要になるでしょう。