【現場監督がよく使う建設用語】コールドジョイントとはなに?

【現場監督がよく使う建設用語】コールドジョイントとはなに?

現場監督は、住宅の建築工事で生じる不具合について十分に気を付けなければなりませんが、そのひとつに「コールドジョイント」があります。 「コールドジョイント」は、コンクリート打設工事において、施工上の問題が原因で起こる現象となります。 しかし、「コールドジョイント」とは具体的にどのような現象なのか、また、発生すると品質にどのような影響を与えるのか、よくわからない人も多いのではないでしょうか? そこで本記事では、「コールドジョイント」とはどのような現象をいうのか、そして品質への影響やその対策について解説したいと思います。


現場監督は、住宅の建築工事で生じる不具合について十分に気を付けなければなりませんが、そのひとつに「コールドジョイント」があります。
「コールドジョイント」は、コンクリート打設工事において、施工上の問題が原因で起こる現象となります。

しかし、「コールドジョイント」とは具体的にどのような現象なのか、また、発生すると品質にどのような影響を与えるのか、よくわからない人も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、「コールドジョイント」とはどのような現象をいうのか、そして品質への影響やその対策について解説したいと思います。

コールドジョイントとはなに?

コールドジョイントとは、コンクリート打設工事において、先行して打設した層と、その後に打設した層が、一体化できないまま分離してできる継ぎ目のことをいいます。
コールドジョイントは、発生している部分が一体化できていないことにより、完成品質に影響を与える可能性のある現象です。

コールドジョイントの品質への影響について

コールドジョイントが発生すると、完成品質に影響を与える可能性があります。

その影響とは、まず中性化を早める可能性があることです。
中性化とは、通常であれば強いアルカリ性を示すコンクリートが、空気中の炭酸ガスと反応することでアルカリ性を失っていく現象をいいます。

中性化が鉄筋にまで及ぶと、錆びを誘発し、内側からコンクリート破壊しながらその範囲を拡大させるようになります。
そうなると、コンクリートの強度は低下する可能性が高まるのです。

また、住宅の基礎でコールドジョイントが発生すると、一体化できない部分がシロアリの侵入ルートになる場合があります。
シロアリは、わずか0.6mmの隙間があれば侵入できるといわれています。

床下へシロアリの侵入を許すと、木材の食害を受けて建物の強度を損ねる原因となるため、十分な注意が必要です。

コールドジョイントが発生する原因について

コールドジョイントは、一般的に施工時の問題によって発生します。

通常、コンクリート打設工事は、工場で製造したフレッシュコンクリートを複数台のアジテータ車で運び、現場で流し込みます。
しかし、フレッシュコンクリートは製造直後から硬化するため、先行して打設する層が硬化するまでに次の層を打ち込まなければなりません。

そのため、練り混ぜから打ち終わりまでの時間には基準が設けられており、この時間が守られるよう搬入計画を行う必要があります。
その基準として定められている時間とは以下の通りです。

  • 外気温25℃未満:120分以内
  • 外気温25℃以上:90分以内

以上の時間を超えると、先行して打設した層の硬化が進んでしまい、打ち重ねたコンクリートとの一体化が図れない可能性が高まります。
その結果として、コールドジョイントが発生することがあるのです。

また、打ち重ねの時間が守られていても、締固めが不十分である場合もコールドジョイントが発生する原因となります。
このケースは施工者の問題となるため、コールドジョイントが生じないよう意識して施工することが重要になります。

住宅基礎はコールドジョイントが起こりやすい

住宅の基礎の多くはベタ基礎でつくられていますが、一部を除き、ベースの硬化後に立ち上がりを打設する「2回打ち」が一般的な方法として行われています。

公共工事の場合、「打ち継ぎ」を行うときは、表面部分のレイタンスを除去し、モルタルやセメントペーストを塗り込んだうえで打設するなどの表面処置を施します。
そうすることで、隙間なく一体化を図れるようになるのです。

しかし、住宅の基礎でこのような「打ち継ぎ」処理が行われることは、それほど多くありません。
なぜなら、鉄筋によって一体化されることで、必要とする強度を保てるという理由からです。
この点は、さまざまな意見がありますが、住宅会社ごとにマニュアルに則って行われる部分となります。

まとめ

コールドジョイントとは、先行して打設した層と、その後から打設した層が一体化できないまま、分離してできる継ぎ目のことです。
ただし、コールドジョイントが生じても、補修など、適切な処置を施すことで深刻な事態は避けられます。

現場監督は、コールドジョイントが品質に与える影響を理解したうえで、会社のマニュアルに則り、正しく対処することが重要になるでしょう。

関連する投稿


【忘れっぽい人必見】住宅の現場監督はメモを仕事にしろ

【忘れっぽい人必見】住宅の現場監督はメモを仕事にしろ

現場監督をしていて、新人は特に忘れっぽい人がいます。このような方は、意外に多いです。仕事ができない人というわけではなく、現場監督になるとそのようなことが起こります。理由は、住宅の現場監督は、タスクが以上な量になってしまうからです。細かい伝達内容などが発生し、それをその場で対処したり、数時間後に対処したり、場合によっては別日に対応するなど、非常に複雑になります。1つ1つのタスクは非常に簡単ですが、10個など多くなってくると、全てを覚えておくことは不可能に近いです。この記事では、住宅現場監督が、タスクに埋もれずに、効率的に業務を遂行できる方法としてメモをご紹介いたします。


朝礼は必要ない!?建設工事における目的・確認事項

朝礼は必要ない!?建設工事における目的・確認事項

毎日工事現場では、朝礼が行われます。一般企業でも朝礼を実施している会社はありますが、朝礼は朝の始まりの慣例で、特になくても問題ないのでは?と考えている方も多いかもしれません。しかし、工事現場において朝礼は非常に重要なものです。安全管理や工事内容を再度確認することで、その日1日を問題なく進行させることができます。この記事では、朝礼の目的や内容についてご紹介いたします。


【簡単わかりやすい】戸建て住宅工事の検査まとめ

【簡単わかりやすい】戸建て住宅工事の検査まとめ

戸建住宅工事では、様々な検査が行われています。住宅は非常に高価な商品であり、不具合があったときに容易に交換ができないことや、欠陥により人の命に関わることもあるため、法令遵守の求められている基準が厳しいです。義務として行わなければならない基本的検査、義務ではないがより安心した検査となる任意的検査があります。これらについてわかりやすく簡単にご紹介いたします。


住宅の現場監督が雨の日にやっておきたいこと【5選】

住宅の現場監督が雨の日にやっておきたいこと【5選】

住宅の新築工事では、雨が降ると工事を止めなくてはならないケースがあります。 工事を止めなくてはならないケースとはおもに外部工事になりますが、内部の工事については、屋根や防水、その他雨仕舞が終われば天候に関係なく進められます。 また、雨が降って工事が止まったとしても基本的に現場監督は休みにはなりません。 できる仕事をやる必要があり、そして日頃から忙しい現場監督にとっては滞っている業務を大きく前に進めるチャンスでもあります。 そこで本記事では、雨が降って工事が止まったときにやっておきたいことについて、とくに重要な5つをご紹介したいと思います。


現場に労働基準監督署がやってきた!役割、現場監督の気持ち

現場に労働基準監督署がやってきた!役割、現場監督の気持ち

住宅業界だけでなく、建設業界では馴染みの深い(?)労働基準監督署についてご紹介いたします。労基(ろうき)と略して言われますが、今日は労基がくるぞ!などと会社としては身構える日になります。書類関係や現場をチェックされ、違反などがあれば是正勧告などの指導が入ります。違反が重大なもので、指導に従わない場合、行政処分もあります。現場監督は問題がないように書類関係の準備や現場を普段から安全管理等しっかりと行う必要があります。


最新の投稿


【忘れっぽい人必見】住宅の現場監督はメモを仕事にしろ

【忘れっぽい人必見】住宅の現場監督はメモを仕事にしろ

現場監督をしていて、新人は特に忘れっぽい人がいます。このような方は、意外に多いです。仕事ができない人というわけではなく、現場監督になるとそのようなことが起こります。理由は、住宅の現場監督は、タスクが以上な量になってしまうからです。細かい伝達内容などが発生し、それをその場で対処したり、数時間後に対処したり、場合によっては別日に対応するなど、非常に複雑になります。1つ1つのタスクは非常に簡単ですが、10個など多くなってくると、全てを覚えておくことは不可能に近いです。この記事では、住宅現場監督が、タスクに埋もれずに、効率的に業務を遂行できる方法としてメモをご紹介いたします。


住宅設計士は、技術を学んで、そして盗め!

住宅設計士は、技術を学んで、そして盗め!

住宅設計士は、建築士の資格を持っていることがほとんどです。しかし、資格を持っていれば完璧にデザインからディテールにこだわった施工まで、問題ない設計ができるかというとそうではありません。住宅設計士として、学ぶべきことは多く、自分1人で仕事を完結できるようになることはなかなか一筋縄ではいきません。技術を学び、盗むことが住宅設計士として一人前になるために必要なことです。この記事では、住宅設計士が何を学び、技術をどのように身につけていけば良いかご紹介いたいします。


住宅設計士の仕事術|電話・メールの使い分け

住宅設計士の仕事術|電話・メールの使い分け

住宅設計士は、デザインをする上で、メールに設計図や写真を添付したり、細かい内容は電話をしたりとどちらも使う必要が出てきます。メールだけであれば簡単ですが、電話もしなければいけない状況が多くあります。それらについてどのような情報はメールで、何を電話にしなければいけないのか、判断がつきづらい事項も出てきます。この記事では、仕事をスムーズに進めるためにどのようにすべきかお勧めの方法をご紹介いたします。


住宅設計士の報連相|なぜか上司に伝わらない

住宅設計士の報連相|なぜか上司に伝わらない

住宅設計士として新米の頃、報連相がうまくできていないと注意されたことがある方がほとんどではないでしょうか?住宅設計士にかかわらず、社会人として求められるスキルですが、実は報連相というものは難しいです。業務の全体の流れを把握し、どこが仕事の重要ポイントで、どこをミスしてはいけないのか、どこを確認すれば効率的なのか。これらについて、新人の頃は何も分からないため、ほとんど仕事になりません。この記事では、そんな新人住宅設計士がどのように報連相を行えば良いかを簡単にご説明いたします。


【働き方指南】新人住宅設計士は独立を目指して働こう!

【働き方指南】新人住宅設計士は独立を目指して働こう!

新人住宅設計士は、全く設計の仕事ができないと言っても過言ではありません。設計自体は先輩社員が基本的には行い、新人はそれの補佐から始まります。もっと設計に関わりたい!もっと案を出したい!と思っても、ほとんどできない状況が続くでしょう。小規模の設計事務所では、新人は電話対応やお客様対応などに時間を割かなければなりません。そこで、違う会社に転職しようとしたり、先輩の文句を言う前に、まずは自分が独立したときに困らない知識や経験を最低限つけてみましょう!


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 職人 台風 現場監理 働き方改革 資格