新型コロナウィルスの影響もあり、住宅着工件数は減少傾向にありますが、そんななかでも「平屋」の割合は増加しています。
その理由として、少子高齢化やライフスタイルの変化にともなう住まいづくりにおいて、「平屋」はニーズに適合しやすいことが挙げられます。
しかし、「平屋」は、多くのメリットが得られる一方で、デメリットもあることは注意しておかなければなりません。
そこで本記事では、高齢者に優しい住まいである「平屋」のメリットとデメリットについて徹底解説したいと思います。
そもそも平屋とは?
平屋とは、いわゆる「1階建て」の建築構造物のことを指していいます。
階段が無いことから、身体への負担が少なく、またスムーズな動線設計が可能となるため、とくに高齢者に人気です。
また、近年では、若年層や子育て世代にとっても、安全で暮らしやすい住まいとして需要が高まっています。
平屋のメリットについて
平屋にはいくつかのメリットがありますが、代表的なものは以下の通りです。
- 高齢者の事故防止ができる
- 耐震性に有利
- メンテナンスコストが安くなる
■高齢者の事故防止ができる
高齢化にともなって身体的機能はどうしても衰えてしまいますが、その影響により家庭内事故が起きてしまうこともあります。
家庭内事故で最も多いのは階段や床での転倒や転落であり、場合によっては大きなダメージを負う可能性もあるため、十分な注意が必要です。
しかし平屋は、階段がなく、またバリアフリー設計を行うことで、転倒や転落の事故の多くを効果的に防げます。
つまり、高齢者に優しい住まいづくりがしやすいというわけです。
■耐震性に有利
平屋は、複層階の建物よりも耐震性で有利になります。
というのも、耐震性は建物の重量に影響を受けやすいためです。
軽い建物より重い建物のほうが地震の揺れは大きくなり、また、建物の高さが高くなるほど重心も上がり揺れ幅も大きくなってしまいます。
しかし平屋は、複層階より重量が小さくなりやすく、また重心も低いため、地震発生時の揺れの負担を軽減できます。
■メンテナンスコストが安くなる
住宅は、経年劣化にともなう定期的なメンテナンスが必要ですが、平屋の場合は複層階の建物よりもメンテナンスコストは安くなります。
とくに屋根や外壁など、過酷な環境にある部位は劣化しやすく、建物を守る意味でもメンテナンスは必須です。
しかし平屋は、外壁の面積は小さく、大規模な足場の設置も必要ありません。
そのため、メンテナンスコストは、大きく削減できるというわけです。
平屋のデメリットについて
平屋は、メリットが多い一方で、デメリットもあります。
代表的なデメリットとは以下の通りです。
- プライバシーの確保が難しい場合がある
- 浸水があると上階へ避難できない
- 日当たりや風通しが悪くなる場合がある
■プライバシーの確保が難しい場合がある
平屋は、居住スペースが1階だけの低い位置となるため、周囲からの視線が届きやすくなります。
また、家族間においても、暮らす人の人数によっては距離が近くなるため、それぞれのプライバシーを確保することが難しくなる場合もあります。
しかし、高齢者世帯なら見守り効果による安心が得られること、また距離が縮まり家族間のコミュニケーションを図りやすくなることなどは、メリットとなるケースもあるでしょう。
■浸水があると上階へ避難できない
台風や大雨によって浸水が発生すると、複層階であれば上階へ避難できますが、平屋の場合はできません。
また、複層階であれば、濡らしたくないものがあれば上階へ移動できますが、平屋の場合はそれもできません。
よって、平屋を検討する際には、ハザードマップなどを利用し、水害が発生する可能性のある場所なのか事前にチェックしておくことも重要になるでしょう。
■日当たりや風通しが悪くなる場合がある
平屋は、居住スペースが1階だけの低い位置となるため、周囲を建物に囲まれるようなら、日当たりや風通しが悪くなる場合があります。
また、平屋の大きさによっては、中心部分にまで日射が届かない可能性もあります。
そのため、周辺環境を考慮し、天窓を設置したり、中庭をつくったりなど、対策が必要となるケースもあるでしょう。
まとめ
平屋は、身体機能の衰えた高齢者の負担を軽減してくれることから、安心で安全な住まいづくりには非常に適しています。
また、ムダを少なく効率的な暮らし方をしたいという人にも適した住まいといえるでしょう。