建設業経理士の資格をとって、転職を有利にしよう!

建設業経理士の資格をとって、転職を有利にしよう!

建設業において、経理や会計職に就いている方は非常に多いです。事務職でなかなかキャリアアップといっても、勤続年数が反映されるだけで、お給料も上がりにくく、転職市場でもあまり優遇されないといったことがあります。しかし、建設業経理士の資格を取得すれば、転職市場でも有利になり、給与UPも見込めます。簿記などは有名ですが、建設業経理士はあまり認知されていないため、この記事でわかりやすくご紹介いたします。


建設業の経理の特徴

建設業は、建設工事の完成を請け負う業者のことを言います。製造業などと似ている面がありますが、一般的に受注から引き渡しまでの期間が非常に長いです。また、受注請負形態(受注を受けて、完成をお客様に約束する)です。実際の工事は、工事種ごとに細分化され、専門業者に依頼するという流れがほとんどで、経理も複雑になることがあります。

基本的には、一般的な簿記の対応で十分ですが、受注から引渡しまでの期間が長いために、工事進行基準(工事の進捗度合いに応じて売り上げを計上する)というものがあります。本来は、売り上げというものは、引き渡しが行われて初めて売り上げに計上されます。しかし、これでは何ヶ月間も売り上げが発生しておらず、人件費などの経費などだけが発生していることになってしまうため、適正な経理を行うことなどを目的に導入されています。

決算期末に工事進捗の程度を見積もり、工事収益率によって工事収益の一部を当期損益計算書に計上します。平成21年度からは、工事進行基準で経理精算することが原則です。

建設業の経理と一般簿記の違い

建設業の経理と一般簿記では、その違いはほとんどありません。試験内容も9割が内容が被るとされています。

勘定科目名が一部異なる名称となっています。内容は変わりませんので、名称の見覚え直せば問題ありません。
・損益計算書項目
 売上高→完成工事高(工事収益)
 売上原価→(完成)工事原価
・賃借対照表項目
 売掛金→(完成)工事未収入金
 仕掛品→未成工事支出金
 買掛金→工事未払金
 前受金→未成工事受入金(工事前受金)

建設業経理士とは?

建設業経理士とは、建設業において専門の会計知識と会計処理能力がある資格です。一般簿記と似ている点が多いと前述しましたが、建設業特有の専門用語や、仕事の流れなどがあるため、それらも理解した上でないと会計処理がうまくできません。そのため、民間の検定試験である建設業経理士ですが、国土交通省の認証を受け、建設業振興基金が実施をしています。

試験は1級、2級があります。3級、4級もありますが、そちらは建設業経理事務士と名称が変わります。また、実質的に資格としては2級以上の建設業経理士でないと、あまり会社などには評価されません。

建設業経理士は「経営事項審査」の評価対象

公共工事の入札可否の判断資料となる「経営事項審査」の評価対象として、建設業経理士は含まれています。つまり、公共事業の請負の際に、会社の信用度を点数化する際に評価されるため、社内に建設業経理士の資格を持ったものが必要といえます。

加点対象のポイントは以下のようになっております。
・建設業経理士1級:1ポイント
・建設業経理士2級:0.4ポイント
・公認会計士:1ポイント
・税理士:1ポイント

公認会計士や税理士といった有資格者と、建設業経理士1級は同等として扱われています。それだけ建設業経理士の資格は、建設業の信用度や、経理の業務遂行に必要とされているということです。

建設業経理士は、転職にどのくらい役立つ?

建設業経理士の資格は、転職の際に有利になります。ただし、2級の場合には建設業での実務経験が無いとあまり評価されないこともあります。しかし、資格を持っていない方よりは遥かに有利といえます。

また、実務経験を積んで1級に挑戦したり、資格を持っていて実務経験もあれば、より良い職場環境の会社に転職することもチャンスも多くなります。経理を担当している方は、キャリアアップのために資格取得をお勧めいたします。

建設業経理士の資格試験について

・受験資格
受験資格に制限はなく、いきなり1級を受けることも可能です。

・内容及び程度
1級
内容 建設業原価計算、財務諸表、財務分析
程度 上級の建設業簿記、建設業原価計算及び会計学を修得、決算等に関する業務を行える

2級
内容 建設業の簿記、原価計算、会社会計
程度 実践的な建設業簿記、基礎的な建設業原価計算を修得、決算等に関する実務を行える

*1級に関しては、3科目から成る科目合格制で、全てに合格する必要があります。1科目合格し、その5年以内に全ての科目に合格すれば、1級建設業経理士となります。

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