建売住宅の販売価格に騙される顧客
騙されている顧客がいますが、誰かが騙しているわけではなく、自然と錯覚してしまっています。住宅の購入予算が5000万円で、建売住宅5000万円と4500万円の住宅ではどちらの方がグレードが高いでしょうか?普通は、何も考えずに、5000万円の方がグレードが高い住宅で、住みやすさも良いと考えてしまいます。
しかし、実際には土地代を考慮すると、4500万円の住宅とグレードはほぼ同じということもよくあります。このようなことを知らずにお客様は購入してしまっています。また、営業もこれらを知ってか知らずか、高い方が売れた方が良いため、せっかく5000万円予算があるなら、良いところに住んだ方が良いですよと勧めるのです。
■販売価格が高いほど、建物が長持ちするという錯覚
建物のグレードを勘違いしてしまうのは、住宅の維持管理に重大なデメリットがあります。市街地の5000万円の建売住宅と、郊外の3000万円の建売住宅では、どちらの住宅が長持ちするでしょうか?
実際、多くの方が「5000万円もの住宅を買っているのだから、長持ちして当然だし、グレードのそこそこ高い住宅を買った」と自負しているでしょう。しかし、市街地の5000万円の住宅というのは土地代が3000万円で、建物は2000万円の価値です。そして郊外の3000万円の建売住宅は、土地代が1000万円で、建物は2000万円の価値です。
つまり、どちらの住宅も全く同じグレードであるということです。5000万円もする住宅を買ったのだから、グレードがそこそこ高く、メンテナンスもそこまで丁寧にしなくても長持ちすると考えていると、あっという間に老朽化してしまいます。また、建物のグレードを把握することで、比較検討も正当な評価をすることができます。
■ほとんどの顧客がローコスト住宅を買っている
ローコスト住宅というのは、最近流行っている言葉です。若い世代でも購入できる、ローコストであるが、最低十分な性能を持っている住宅というイメージがついています。しかし、実は建売住宅を購入しているほとんどの顧客は、ローコスト住宅を買っています。
ローコスト住宅は、1500〜2500万円程度の建物のことを言います。そして建売住宅は、その販売価格から土地代を引くと、1500〜2500万円の間に収まるものがほとんどです。
ローコスト住宅が悪いわけではありません。50代以降のご夫婦も一軒家を買おうと立派な5000万円の建売住宅を購入した際に、建物自体はローコスト住宅であると理解した方が良いです。高級住宅を買っているのに、なぜ建物の性能が悪いのかと後からクレームなどに発展することもあります。
土地の価格相場を知っておく
土地の価格相場を知っておくことで、建売住宅の販売価格から、建物のグレードを正しく認識し、住みやすさなどを比較的正しく予想することができます。営業も、土地の価格と住みやすさ、建物の性能から住みやすさを、比較的正しく把握することで、お客様により満足度の高い提案をすることができます。
■土地価格の種類。実勢価格を見よう
土地の価格は、不動産と呼ばれるだけあり、変動が少ないものです。この土地の価格は、4つの価格が存在し、それぞれの使い方が決まっています。
・実勢価格
・公示地価/基準地価
・相続税評価額
・固定資産税評価額
ここでは、実勢価格について知っておきましょう。実勢価格というのは、いわゆる販売価格の相場です。類似物件の取引実績によって、その近辺の土地相場がわかります。この実勢価格を把握することで、建売住宅の販売価格の土地と建物の内訳を予想することができます。
お客様に、生きた情報を与える営業になろう
お客様は、住宅にすみやすさを一番求めていますが、費用面もナイーブです。それはできるだけ安く(損をしない範囲で)購入したいからです。
その土地の相場、建物の価格について正確に営業が知っておくことで、お客様にどのような住宅であるのかを正確に伝えることができます。また、予算内で購入できる住宅で、同じ価格なら駅近を選んでいたお客様も、建物の価値を知ることで、駅から遠い住宅の方が住みやすさを感じることもあります。
お客様には、正しい知識を持って、納得のいく住宅選びをしてもらいましょう。