新型コロナによるウッドショック|住宅への影響いつまで

新型コロナによるウッドショック|住宅への影響いつまで

「ウッドショック」という現象が起きています。ウッドショックは、新型コロナウイルスによる経済的な影響で、木材の価格が高騰する現象です。住宅業界にとっては、非常に大きな影響を与えています。木材の価格が高騰するということは、建築物の建築コストが上がり、販売価格を上げるか利益を減らさなければいけません。しかし、住宅は着工してから引き渡しまで期間が空くことや、ウッドショックがいつまで続くか分からないため、難しい判断が求められます。この記事では、ウッドショックについて、住宅への影響についてご紹介いたします。


ウッドショック|アメリカの住宅需要増における木材価格高騰

ウッドショックは、木材価格が高騰している現象のことです。2020年から新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、全世界で様々な影響を与えています。経済的な落ち込みをもたらすだけではなく、市場として売上を伸ばしている業界もあります。

アメリカの住宅市場は、一時期に落ち込みましたが、ロックダウンなどの政策によるリモートワークの普及、財政政策、住宅融資の低金利化などの対策などがされ、住宅需要が大幅に伸びました。住宅を郊外に新築したり、リフォームを行う流れが進み、新型コロナの影響がある以前よりも需要が伸びています。

また、虫害や山火事などによる減量不足や、製材所を新型コロナの影響で一時期休業していたこと、ネット販売の流通の世界的な需要増からコンテナ不足、これらの複合的な要因が積み重なり、木材の供給不足が顕著になっています。

日本におけるウッドショックの影響

日本は、建築用木材に関して、輸入材が7割となっており、ウッドショックの影響を大きく受けています。丸太の価格は上昇しており、丸太の輸入価格は1.1倍、国産の丸太の価格も1.1倍程度に上がっています。製材に関しては、輸入価格が1.5倍近く、国産も1.3倍程度まで上がっています。

輸入材から国産材にシフトしようという声もあがっていますが、林業自体がすぐに供給を開始できるものではないため、難しいです。国産材は、そもそも価格が高いため、ウッドショックにより高騰した木材と価格が変わらない場合もあります。また、ウッドショックが終わってしまえば、国産材はまた需要がなくなってしまいます。そのため、簡単に国内の林業の稼働を増やすというわけにはいかないのです。

ウッドショックによる国内住宅市場への影響

不動産業全体の動きでは、新型コロナウイルス拡大の影響を大きく受けた2020年3月ごろから一時落ち込みました。しかし、その後6月から回復し、全体を通して例年と大きく変わらない水準でした。

新築戸建て住宅売買業に関しては、2020年4月に大きく落ち込み、8月までに急回復しピークになり、それ以後はウッドショックによる木材価格の高騰に伴い低下しています。ウッドショックによる影響が落ち着かない限り、住宅売買業の水準も大きくは回復しない見込みです。

ウッドショックはいつまで続くのか

ウッドショックは、2021.12月時点で、収束の目処のニュースは今のところありません。常に動向をチェックしていく必要があります。

消費者への影響

住宅を購入する消費者は、実際にどのような影響を受けるでしょうか。ウッドショック前に輸入された木材を使用した建売住宅などは、販売価格も以前と変わらずに購入できます。しかし、注文住宅やこれから着工し、新たに木材を輸入する必要がある場合には、原価コストが上がるため、販売価格も高騰することが予想されます。

ただし、木材価格が2倍になったからといって、住宅価格も2倍になるわけではありません。あくまでも、木材原価のコストが上がるので、1000万円の原価がかかる住宅は、その原価が1030万円程度になるというイメージです。これはあくまでも例ですが、販売価格で言えば1~3%程度の上昇となる可能性があります。

まとめ

ウッドショックは、アメリカの住宅需要増における木材価格高騰が原因です。新型コロナウイルスの影響で、リモートワークや財政政策により、郊外に新築住宅を建てる方が多くなったためです。

国内でもウッドショックの影響を顕著に受けています。建築木材の7割を輸入材に頼っており、国産材の需要も高まり、国産材も価格が高騰しています。ウッドショックがいつまで続くのか、まだ見通しが立たないため、動向を常にチェックしておく必要があります。

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