営業のしやすさは、変わらない。
まず結論ですが、営業にとっては、戸建て分譲住宅と分譲マンションの営業のしやすさは変わらないと言えます。なぜなら、住宅は、衣食住の中の一つであり、単純にニーズはあるからです。ニーズが一定以上あり続ける商材であるため、営業のしやすさという点では、戸建て分譲住宅と分譲マンションはという広い括りでは、変わりません。
営業のしやすさを考えるのは、重要なことですが、これだけニーズのあるものですので、他は販売会社のブランド力なども関わってきます。つまり、営業にとっては、戸建て分譲住宅と分譲マンションでは売りやすさはほとんど変わらず、これを気にしている営業は、売れない新人営業くらいです。
しかし、市場やニーズの傾向、顧客層などには違いがあります。
■市場としては、戸建てが有利傾向
実は、市場としては戸建ての方が、若干売りやすいと言えます。戸建て住宅と分譲マンションでは、戸建て住宅が約55%、共同住宅(分譲マンション)が約42%の入居率です(参考 総務省統計局「平成25年 住宅・土地統計調査」。
このデータは、戸建て住宅(賃貸戸建て、注文住宅、注文住宅、分譲住宅も含む)、共同住宅(賃貸マンション、アパートなども含む)となっているため、戸建て分譲住宅と分譲マンションの正確な比較はできませんが、おおよそ戸建て住宅の方が市場としては有利な傾向にあるでしょう。
また、戸建て・マンションでは、戸建ての人気が高く、約6割が戸建て派です(参考 株式会社リクルート「住宅購入・建築検討者」調査2020)。以上のように、市場としては、若干戸建ての方が有利と言えます。ただ、営業個人にとっての売りやすさというものには、そこまで影響しないでしょう。住宅営業は、基本的には反響からくる顧客に対して営業を行うので、反響量に市場は影響しますが、営業の売りやすさには影響しません。
■マンション購入者の方が、所得が高い傾向
一般的に、マンションは立地や利便性などが良い場所にあり、別途管理費・修繕積立金、駐車場代などを支払う必要があります。そのため、同じような条件の住宅でも戸建て分譲住宅と分譲マンションでは、分譲マンションの方が負担額が多くなります。そのため、マンション購入者の方が所得が高い傾向にあります。
所得が高い傾向だからと言って、マンションの方が営業しやすくなるわけではありません。所得に応じた、戸建て分譲住宅もしくは分譲マンションを購入するだけですので、相手にする顧客層が若干変わる可能性がある程度です。
戸建て分譲住宅と分譲マンションの違い
顧客が実際に購入するにあたっては、戸建て分譲住宅と分譲マンションでは様々な違いがあります。
・購入費用の違い
・生活面での違い
・資産価値について
これらについてご紹介いたします。
■購入費用の違い
戸建て分譲住宅と分譲マンション、共通する費用項目
・印紙税
・登記費用
・ローン保証料、手数料
・火災保険料
・固定資産税など
・不動産取得税
これらは、細かく見れば金額差がありますが、住宅ローンに含めることができるため、そこまで顧客のネックにはなりません。
戸建て分譲住宅だけに発生する費用項目
・仲介手数料
・(修繕費用)←こちらは個人の管理次第
分譲マンションだけに発生する費用項目
・管理費、修繕積立金
・駐車場代
つまり、戸建て分譲住宅と分譲マンションで異なる費用項目は、4つあります。
ここで重要な項目は、分譲マンションの、管理費・修繕積立金、駐車場代です。これは、戸建て分譲住宅の仲介手数料などの一時的な出費とは違い、毎月かかってくるものです。一般的に月々1.5~3.0万円程度かかるもので、住宅ローンとは別に支払う必要があります。
住宅ローンだけの月々の負担を考慮していると、かなり苦しくなってしまう顧客もいらっしゃいます。これらの費用を考慮すると、戸建て分譲住宅のほうがコスト面ではお得に感じるかもしれません。
■生活面での違い
戸建て分譲住宅と分譲マンションでは、全く生活スタイルが変わると言っても良いでしょう。戸建て分譲住宅では、周りを気にせずに子供がドタバタしても多少平気ですが、分譲マンションでは、騒音問題がつきまといます。駐車場も敷地内にあり、間取りの変更などの工事を行うことも可能です。
一方で、分譲マンションは管理が行き届いており、住宅の周りの掃除などもするひつようがありません。定期的な修繕も管理会社が勝手に行なってくれます。また、立地・利便性も高く、虫などもでないことから、マンションを好む方もいらっしゃいます。そしてセキュリティ面では、マンションの方が高いです。
■資産価値について
資産価値については、様々な議論がありますが、本来基本的には当てにしないことが大事です(営業トークとしては使うことが多いですが)。
戸建て分譲住宅では、土地代が変わらず、上物はほとんど無価値になっていきます。3000万円の分譲住宅であれば、1000万円の土地代程度ということです。分譲マンションは、土地としての資産はほぼ残りません。中古で販売する際に、どれだけ価値があるかは、オーナー・管理会社のセンスや、その時勢によります。つまり、どちらの方が資産価値があるかというのは、分譲住宅は土地の最低限の価格、分譲マンションは読めないというところでしょう。