【建設業の基礎知識】道路使用許可とは?

【建設業の基礎知識】道路使用許可とは?

建設工事中には、工事内容によっては道路を使用し、交通を妨げてしまうケースがあります。そんなときに必ず取得しなくてはならないのが「道路使用許可」です。 そもそも道路は、人や車が自由に通行できる場所であり、それらを妨げるような使い方をしなくてはならない場合は、事前に許可を受ける必要があります。 では「道路使用許可」とは、具体的にどのような場合に取得する必要があるのでしょうか? また、無許可で道路を使用するとどのような罰則を受けることになるでしょうか? そこで本記事では、建設工事における「道路使用許可」とは具体的にどのような許可なのか、その内容を詳しく解説したいと思います。


建設工事中には、工事内容によっては道路を使用し、交通を妨げてしまうケースがあります。
そんなときに必ず取得しなくてはならないのが「道路使用許可」です。

そもそも道路は、人や車が自由に通行できる場所であり、それらを妨げるような使い方をしなくてはならない場合は、事前に許可を受ける必要があります。

では「道路使用許可」とは、具体的にどのような場合に取得する必要があるのでしょうか?
また、無許可で道路を使用するとどのような罰則を受けることになるでしょうか?

そこで本記事では、建設工事における「道路使用許可」とは具体的にどのような許可なのか、その内容を詳しく解説したいと思います。

道路使用許可とは?

まず道路とは、「道路交通法」により以下のような定義があります。

・道路法に規定する道路(高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道)
・道路運送法に規定する自動車道(自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で道路法による道路以外のもの)
・一般交通の用に供するその他の場所

また、「道路交通法」では、信号機や道路標識の効用を妨げるような工作物の設置や交通の妨害となるようなものを置く行為などを禁止することも定められています。

しかし、例えば建築工事のように社会的価値のある行為については、一定の要件を満たし、警察署長の許可を受ければ、行えることとなっています。
その許可が「道路使用許可」です。

道路使用許可の種類について

道路使用許可には4つの種類があります。
その種類とは、以下の通り行為の内容で分けられています。

・1号許可:道路において工事もしくは作業をしようとする行為
・2号許可:道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする行為
・3号許可:場所を移動しないで、道路に露店、屋台店その他これらに類する店を出そうとする行為
・4号許可:道路において祭礼行事やロケーシヨンをしようとする行為など

つまり、建設工事に関する道路使用許可は、おもに1号許可ということになります。

道路使用許可の取得方法について

道路使用許可を取得するには、申請書とその他必要な添付書類を一式揃え管轄の警察署へ提出します。
建設工事で道路使用許可を取得するときのおもな添付書類は、案内図や配置図、その他道路使用に関する計画書などです。

また、道路使用許可は、一定の要件を満たさなければ取得できません。
道路使用許可を取得するには、「道路交通法」に定められた以下の3つの要件のいずれかに該当する必要があります。

・現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき
・許可に付された条件に従って行われることにより交通の妨害となるおそれがなくなると認められるとき
・現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められるとき

要件を満たしていることが認められれば、申請から1週間程度で受け取ることが可能となります。

道路占用許可が必要となるケースもある

目的が道路使用ではなく、道路の一部を継続的に占用する行為である場合、「道路占用許可」が必要となります。
例えば、建設工事であれば道路へはみ出した状態で足場を設置する必要があるケースなどが相当します。

なお、「道路占用許可」の取得が必要な場合は、警察署ではなく、国や都道府県、市町村などの道路管理者へ申請し許可を得なければなりません。

道路使用許可を取得せず工事を行った場合の罰則とは?

道路使用許可が必要であるにもかかわらず取得せずに工事を行った場合、道路交通法違反となり罰則を受けることがあります。
無許可による道路使用の罰則は、以下の通りです。

・3か月以下の懲役または5万円以下の罰金

住宅工事の道路使用許可に関する注意点

住宅工事において道路使用許可が必要となるケースといえば、コンクリート打設や建て方など重機を用いた工事が挙げられます。
アジテータ車やポンプ車、クレーン車などの重機を配置するときには、道路へはみ出してしまうケースがあります。

これら道路を使って行う工事の期間中は、道路使用許可を必ず取得しておかなければなりません。
とくに、道路使用許可が下りるまでには一定の期間がかかるため、工事開始に間に合うよう、早めに申請しておく必要があります。

そのためにも、現地調査や施工計画の作成時など、できるだけ早いタイミングで交通誘導員や看板の配置、そして必要に応じて迂回路などの検討を行っておくとよいでしょう。
また、道路使用を受けられる時間帯にも制限が設けられているため、その時間内で無理なく工事を進められるような工程づくりをすることも重要です。

まとめ

建設工事における道路使用許可は、とくに現場監督であれば必ず知っておかなければならないことのひとつです。
住宅工事のような比較的小規模な工事であれば、申請手続きも現場監督自身で簡単に行えるため、工程が明らかになったら早めに準備しておくとよいでしょう。

関連する投稿


【現場監督がよく使う建設用語】斫り(はつり)とはなに?

【現場監督がよく使う建設用語】斫り(はつり)とはなに?

住宅の新築工事において実際に施工を行うのは専門業者です。 しかし、場合によっては現場監督が行うケースもあり、例えば、きわめて小規模な「斫り(はつり)作業」もそのひとつとなります。 「斫り」は、工事現場でよく使用されるワードですが、いったいどのような作業のことをいうのでしょうか? そこで本記事では、現場監督がよく使う建設用語「斫り」について、具体的にどのような作業なのか解説したいと思います。


住宅現場で4Sを実践しよう!整理・整頓・清掃・清潔

住宅現場で4Sを実践しよう!整理・整頓・清掃・清潔

4Sという言葉を聞いたことがありますか?住宅の工事現場だけなどではなく、他業界でも多く用いられている言葉です。職場環境を改善するための活動で、整理、整頓、清掃、清潔、(しつけ)のことを4Sもしくは5Sと言います。この記事では、住宅現場において、4Sを行うことでどのようなメリットがあるのかについて、そもそも4Sとはどのようなことをすれば良いかからご紹介いたします。


【暑中コンクリート】施工管理が注意するべき夏のコンクリート打設

【暑中コンクリート】施工管理が注意するべき夏のコンクリート打設

住宅建築において、基礎のコンクリート打設は非常に重要な工事のひとつになります。 施工管理としても、建物の強さを左右するコンクリート打設は適切な施工が行われることをしっかりとチェックしなくてはなりません。 しかし、夏のコンクリート打設は通常とは異なる難しさがあります。 この気温の高い時期に施工するコンクリートを「暑中コンクリート」と呼び、施工管理者は施工に向けて対策を講じる必要があるなど、とくに注意が必要です。 そこで本記事では、施工管理者が注意するべき「暑中コンクリート」について、リスクと対策をご紹介したいと思います。


【新しい生活様式】工事現場における夏のマスク対策とは?

【新しい生活様式】工事現場における夏のマスク対策とは?

新型コロナウィルスの爆発的な流行により、私たちの生活は大きな変化を余儀なくされました。感染防止を防止することを目的とする「新しい生活様式」は、全員で取り組むべきことであり、また当然ながら建設業界にも求められます。しかし、工事現場において気温が高くなる時期は、コロナ感染だけでなく熱中症リスクにも気を付けなければなりません。というのも、建設業では熱中症による労働災害がきわめて多いためです。また「新しい生活様式」ではマスクの着用が基本となりますが、工事現場においては熱中症リスクを高めてしまう可能性も懸念されています。そこで本記事では「新しい生活様式」の基本であるマスク着用を工事現場ではどのように対応するべきなのかご紹介したいと思います。


施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

建設業界の仕事は、「体力が必要で、高齢者にとってはきついのでは?」というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか? 確かに、高齢化にともない筋力や視力の衰えなど身体機能の低下による影響が出てくることは、安全面で不安な部分が生じてくる可能性があります。 しかし一方で、業界の著しい高齢化に対応するべく、高齢者へ配慮された現場の環境づくりは徐々に進んでいます。 では、施工管理の仕事は何歳までできる仕事なのでしょうか?また高齢者でもできるのでしょうか? そこで本記事では、施工管理はいったい何歳までできる仕事で高齢者でも可能なのか、ご紹介したいと思います。


最新の投稿


【現場監督がよく使う建設用語】斫り(はつり)とはなに?

【現場監督がよく使う建設用語】斫り(はつり)とはなに?

住宅の新築工事において実際に施工を行うのは専門業者です。 しかし、場合によっては現場監督が行うケースもあり、例えば、きわめて小規模な「斫り(はつり)作業」もそのひとつとなります。 「斫り」は、工事現場でよく使用されるワードですが、いったいどのような作業のことをいうのでしょうか? そこで本記事では、現場監督がよく使う建設用語「斫り」について、具体的にどのような作業なのか解説したいと思います。


住宅現場で4Sを実践しよう!整理・整頓・清掃・清潔

住宅現場で4Sを実践しよう!整理・整頓・清掃・清潔

4Sという言葉を聞いたことがありますか?住宅の工事現場だけなどではなく、他業界でも多く用いられている言葉です。職場環境を改善するための活動で、整理、整頓、清掃、清潔、(しつけ)のことを4Sもしくは5Sと言います。この記事では、住宅現場において、4Sを行うことでどのようなメリットがあるのかについて、そもそも4Sとはどのようなことをすれば良いかからご紹介いたします。


住宅設計士必見!設計を体感できる日本住宅3選と現代住宅

住宅設計士必見!設計を体感できる日本住宅3選と現代住宅

良い住宅を建てるために多くの住宅設計事例を知ることが大切であることは言うまでもないかと思います。しかし、いくら写真や設計図などを見ていても、実際に体感するに越したことはありません。この記事では設計そのものを体感できる住宅についてご紹介いたします。


【暑中コンクリート】施工管理が注意するべき夏のコンクリート打設

【暑中コンクリート】施工管理が注意するべき夏のコンクリート打設

住宅建築において、基礎のコンクリート打設は非常に重要な工事のひとつになります。 施工管理としても、建物の強さを左右するコンクリート打設は適切な施工が行われることをしっかりとチェックしなくてはなりません。 しかし、夏のコンクリート打設は通常とは異なる難しさがあります。 この気温の高い時期に施工するコンクリートを「暑中コンクリート」と呼び、施工管理者は施工に向けて対策を講じる必要があるなど、とくに注意が必要です。 そこで本記事では、施工管理者が注意するべき「暑中コンクリート」について、リスクと対策をご紹介したいと思います。


住宅営業マンは嫌われる?いえ、あなたが嫌われているだけです

住宅営業マンは嫌われる?いえ、あなたが嫌われているだけです

住宅営業は、何千万円もするものを扱っているため施主様も非常に慎重になっています。そのせいで、施主様の感情を読み取ることができない営業マンが多いのも事実です。慎重になっているだけなのか、営業を警戒しているのか、それともあなたを嫌っているのか。営業は少し方法を間違えると嫌われる仕事です。反対に下手なことをしなければ、営業だから嫌われるというわけではないです。もし嫌われているのであれば、営業マンのあなたが原因です。原因についてそれぞれ解説していきます。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 職人 資格 現場監理 働き方改革 知識