コンクリートの成分と性質
コンクリートは、セメント、骨材(砂、砂利など)、その他(混和材料など)で構成されています。セメントは、コンクリートとして骨材を固めます。
建築資材として、住宅、ビル・マンション、その他建築物、道路、ダム、橋梁、トンネル、港湾設備など、非常に広く使われています。性質として、圧縮力には強く、引張力には弱いです。その弱点を補うために、鉄筋がコンクリートの中にある鉄筋コンクリートとして使用されることが多いです。住宅の基礎なども鉄筋を張り巡らせてから、コンクリートを流し込んでいるのはこのためです。
■セメントは、固まる役割
セメントは、ポルトランドセメント、混合セメント、特殊セメントの3つに大きく分かれます。普通ポルトランドセメントが、約70%以上使用されています。
混合セメントは、高炉スラグや天然シリカ、石炭の焼却灰などとポルトランドセメントを混合したものです。特殊セメントは、アルミナを混ぜたものなどがあります。
ポルトランドセメントは、クリンカと石膏を混ぜたものです。クリンカは、石灰石と粘土を混ぜて焼いたもののことで、この成分が水と反応することで硬化します。
■骨材は、強度を上げ、低コストを可能にする
コンクリートには、セメントと骨材が入っています。セメントと砂を混ぜたものは、モルタルと言われ、大きな砂利が入っているものがコンクリートです。
単純に考えると、セメント、モルタル、コンクリートと順番に不純物(砂、砂利)が含まれるようになり、強度も下がりそうですが、なぜコンクリートが構造資材として使われているのでしょうか。実は、一見すると骨材は不純物に見えますが、骨材があった方が強度が高いのです。
・骨材は、発熱を抑制
セメントは水と反応して固まりますが、その際に発熱反応を起こします。少量の反応では、そこまで発熱はありませんが、建築資材として大量のセメントを反応させると、内部の熱が100度を超えることもあります。つまり、セメントが外気に触れている部分と内部の温度差が激しくなり、ひび割れなどの不具合を生じます。
そこで、砂や砂利といった骨材は、セメント成分と反応することなく、その反応を緩やかにし、発熱を抑える効果があります。
・骨材の収縮抑制
骨材を入れることで、セメントの収縮を抑えることができます。セメントは水と反応し、固まる際、水分が蒸発することと、固まることにより体積が収縮します。収縮が激しいと、その部分でひび割れが起きることが多く、それを抑制するために骨材を入れています。骨材は、コンクリート中のセメント成分の割合を減らすことで、この収縮を抑えることができます。
・低コスト化
コンクリートの成分である、セメント、骨材では、セメントの方が高価になります。そのためセメントの割合を減らすことは、資材の価格自体を下げることになるため、骨材を入れています。骨材を入れることで、低コストかつ強度も上がるため、セメント、モルタル、コンクリートでは、コンクリートが建築資材として最も使用されています。
なぜコンクリートは固まるのか
コンクリートの固まる成分は、セメントですが、このセメントはなぜ固まるのでしょうか。よく乾燥したから固まると思っている方もいるのですが、実は、違います。
コンクリートは、水和反応によって固まります。ただし、非常に複雑な反応過程を経るため、それだけではないということを覚えておいてください。
まず、セメントの成分と石膏が反応し、エトリンガイトというものが析出し、凝結します。その後、エトリンガイトが水和反応を起こし、モノサルフェート水和物が形成され、硬化していきます。
つまり、乾燥して固まっているのではないことがわかります。さまざまな成分が水と反応し、新たな成分が生成され、それら成分が個体であるためコンクリートとして固まります。
よくシャブコンといって、水を大量に入れたコンクリートは強度が低く、建築物として耐久性もなくなるため、問題になることがあります。コンクリートが乾燥して固まるのであれば、水を多く入れても問題ないだろうと考えてしまうかもしれません。水を多く入れたところで、乾燥すれば同じと考えてしまうからかもしれません。
しかし、コンクリートは複雑な水和反応により固まるということを知っていればどうでしょうか。水の割合が多いことで、この複雑な水和反応に変化が生じ、固まる成分が違うものになったり、割合が違うものになってしまうことは想像がつくと思います。水も重要なコンクリートの素材であり、固まった後に乾燥して無くなるものではないのです。