建売住宅・注文住宅では現場監督の仕事は違う?

建売住宅・注文住宅では現場監督の仕事は違う?

住宅工事において、建売住宅と注文住宅では、使用する部材や間取り、設備関係などで様々な違いがあります。土地から購入する注文住宅では、契約の段取りや、設計段階からの打ち合わせなどでお客様にとっては全く違う住宅購入方法になります。そこで、実際の工事において現場監督の仕事内容も変わってくるのでしょうか?


建売住宅、注文住宅の違い

お客様にとって、請け負う住宅建築会社にとって、契約から施工までの段取りや対応が建売住宅と注文住宅では違います。
しかし、建売住宅と注文住宅では、工事が始まって仕舞えば、建築工事にそこまで違いはありません。(もちろん、構造の違いや規模、間取り、使用する建材は一般的に異なっていますが、それは注文住宅によっても異なるため、ここでは省きます)

お客様は注文住宅の場合に土地の購入から行い、建売住宅では土地と建物をセットで購入します。建売住宅については不動産屋から購入するということが多く、工務店は不動産屋に依頼されて建築することが多いです。

一般的に建売住宅の方が安いですが、それは多くの同じような戸建てを建てるためコストカットができるためです。また、注文住宅は土地と建物が別契約になるためその手数料が余分にかかり、こだわった内容の設計にするため割高になります。

また、注文住宅では軽量鉄骨造や特殊な構造を持つ住宅もありますが、建売住宅は一般的には在来工法かツーバイフォー工法のみで建てられていることが多いです。

現場監督の仕事で違うポイントは1つ!

ポイント
お客様とのやり取りがあるかないか


建売住宅と注文住宅の工事において現場監督の仕事の違いは、この「お客様とのやり取りがあるかないか」です。それではご説明いたします。

お客様とのやり取りがあるかないか

建売住宅の現場監督は、お客様とのやり取りは基本的にはありません。完成後に建物が売られ、完成までにお客様と施工について打ち合わせをすることはほとんどないからです。

注文住宅の現場監督は、お客様とのやり取りは必ずあります。注文住宅の建設期間は半年から数年かかることもあり、その間に細かい変更があったり、工事中にお客様への説明などがあります。

補足「原価管理の違い」

建売住宅の場合、原価管理が厳しいです。決まった設計で、多くの軒数を建てるため、販売価格から決定されて、その上で原価管理を行います。原価は厳しく抑えられているため、施工中での予期せぬトラブルによる発注や、施工ミスによる工期遅れ、それに伴う追加の原価などは基本的にはあってはならないことです。予期せぬ追加発注は赤字を招くためです。

一方、注文住宅ではある程度予算に余裕がある場合が多いです。利幅が大きいことと、途中の施工変更などについては施主様の負担となるためです。もちろん施工ミスなどは工務店側の負担ですが、ある程度の後期の遅れなどは施主様に許容されることがほとんどのため、そこまで問題にならず、予算内で施工をやり直すことができます。

建売住宅と注文住宅、どちらの現場監督が良い?

現場監督として転職をする場合、建売住宅と注文住宅ではどちらが良いでしょうか?

「接客もしたい、こだわった家づくりに携わりたい」という方は、注文住宅の現場監督をお勧めします。
人生で一番大きな買い物と言われる住宅で、注文住宅を建てる方は非常にこだわられた住宅を建てています。このような住宅の施工に携われることは非常に楽しい経験になります。注文住宅のため、それぞれの家ごとに違った建材、内装材を使用しているため、それらの現物を見て、仕上がりを見るだけでも楽しいです。

「接客は得意じゃない、多くの住宅に携わりたい」という方は、建売住宅の現場監督をお勧めします。建売住宅は、工事現場の方と工務店の設計者、不動産屋といった内部での関わりが多いです。接客をする必要がないため、注文住宅と比べると現場監督も職人も比較的気軽に仕事に集中できます。工期も早く終わるため、多くの住宅建設に携わりたいという方にとっては、建売住宅を扱うのが良いでしょう。

まとめ

以上、建売住宅と注文住宅の現場監督の仕事内容の違いでした。
ポイントとしては、「お客様とのやり取りがあるかないか」というのが1つの違いになります。建売住宅は、完成後の販売ですが、注文住宅は契約してからの工事になるためです。

接客を好み、こだわった家づくりに携わりたい方は、注文住宅の現場監督をしてみましょう。接客が得意でなく、多くの住宅に携わりたい方は、建売住宅の現場監督をしてみましょう。

これから現場監督として志望している方の、転職の際の参考になれば幸いです。




※この記事はリバイバル記事です。

関連するキーワード


現場監督

関連する投稿


【現場監督の安全管理】工事現場の「5S活動」とはなに?

【現場監督の安全管理】工事現場の「5S活動」とはなに?

現場監督の重要業務のひとつに安全管理があります。 安全管理は、現場に潜む危険を排除し、安全に作業を進めるための環境をつくることが大きな目的です。 そして、安全な環境づくりにはさまざまなアプローチの方法がありますが、なかでも「5S活動」は効果が高いとして多くの現場で取り組まれています。 では「5S活動」とは具体的にどのような活動なのでしょうか? また、取り組むことでどのような効果が期待できるのでしょうか? そこで本記事では、住宅の工事現場で行う「5S活動」とはどのような活動なのか、そして取り組むことで期待できる効果などについて解説したいと思います。


現場監督が工事現場の近隣トラブルを防ぐためにやっておきたい3つのこと

現場監督が工事現場の近隣トラブルを防ぐためにやっておきたい3つのこと

工事期間中、現場監督がとくに注意しておきたいことといえば「近隣トラブル」です。 いったん「近隣トラブル」が起こると、解決のために奔走しなくてはならないことから、工事に集中して取り組めなくなる恐れがあります。 しかし、現場監督としてやるべきことをしっかりやっておけば、多くの「近隣トラブル」は防ぐことが可能です。 そこで本記事では、「近隣トラブル」を防ぐために現場監督がやっておきたいことについて、とくに重要な3つのことをご紹介したいと思います。


【住宅建設】新築工事が始まる前に現場監督が行う現地調査とは?

【住宅建設】新築工事が始まる前に現場監督が行う現地調査とは?

現場監督は、あらゆる業務を行わなければなりませんが、「現地調査」もそのひとつです。 「現地調査」とは、工事が始まる前に実際の現場を確認する事前調査のことをいい、新築工事やリフォームなど、工事によって調査する内容は変わります。 また現場監督は、工事に取り掛かる前に施工計画を作成しますが、現地を確認しなければ実行性のある計画がつくれるとは限りません。 施工計画に不備があれば工事は混乱し工程に狂いが生じる恐れもあるため、「現地調査」は非常に重要なのです。 そこで本記事では、現場監督が行う「現地調査」について、おもに新築工事が始まる際に確認しておきたいことをご紹介いたします。


【要注意】現場監督の靴のにおい対策とは?

【要注意】現場監督の靴のにおい対策とは?

現場監督にとって、気になることのひとつに「靴のにおい」があります。 とくに新築住宅だけでなく、引き渡し後のアフターサービスやリフォームなども担当している場合は十分に注意しておかなければなりません。 といいうのも、強いにおいがある状態で家のなかに入ると、施主はいやな気持ちになることが予想されるためです。 せっかく品質の優れた建物を建てても、それだけで満足度が下がってしまうかもしれません。 そこで本記事では、現場監督が注意しておきたい「靴のにおい」について、その原因と対策についてご紹介したいと思います。


【管工事施工管理技士】受験資格や取得するとできる仕事とは?

【管工事施工管理技士】受験資格や取得するとできる仕事とは?

建設業界でキャリアアップを図るには、資格を取得することが重要なポイントとなります。 とくに施工管理の仕事で活躍したい場合は「施工管理技士」資格が有効です。 「施工管理技士」の資格は7つの種類がありますが、建築工事では欠かせない管工事に携わるなら「管工事施工管理技士」を取得するとよいでしょう。 ただし、「施工管理技士」資格は誰にでも取得できるわけではなく、一定の条件を満たし、かつ試験に合格しなくてはなりません。 そこで本記事では、「管工事施工管理技士」の受験資格や取得するとできる仕事についてご紹介したいと思います。


最新の投稿


住宅展示場での接客4つのポイント

住宅展示場での接客4つのポイント

住宅営業の方は、住宅展示場で接客をすることもありますが、なかなか展示場での接客が上手くいかないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?住宅展示場は、住宅設計を依頼しようと考えているお客様もいらっしゃいますが、まだ購入を決めかねているという見込みの薄い方もいらっしゃいます。また、お客様とコミュニケーションが取れていない状態から、展示場の説明をしてしまうと、なかなか営業とお客様で意思疎通ができないこともあります。この記事では、住宅展示場での接客について4つのポイントにまとめてご紹介いたします。


工事請負契約書とは?住宅営業は全て理解しよう!

工事請負契約書とは?住宅営業は全て理解しよう!

工事請負契約書は、住宅営業にとって、成績を左右する一番大事な書類です。お客様の前で新人営業マンは、よくわからずに上司と一緒にお客様に書いてもらうこともあるのではないでしょうか。工事請負契約書は、お客様との取引の上で一番大事な書類です。それにもかかわらず、実は内容を全て理解していないという営業マンも、もしかしたらいるのではないでしょうか?この記事では、工事請負契約書というものが、どのようなものかをわかりやすくご紹介いたします。


【強みを伝える】住宅営業が失敗する、自社商品の知ったつもり

【強みを伝える】住宅営業が失敗する、自社商品の知ったつもり

住宅営業は、他者と相見積もりなどで競合することが多いです。お客様は、メーカーや工務店などの様々な選択肢の中から1社を選びます。お客様の事前知識やイメージで1社に決めていることや、ほとんど決定している場合もありますが、営業の言葉だけでその決定が覆ることもあります。上司から、「他者に負けるな!」と言われつつも、どう営業をすれば良いのか、自社商品と他社商品の違いも知っているけど、それを活かせているかわからないという方もいらっしゃると思います。この記事では、住宅営業が自社商品をどのようにお客様にアピールすれば良いか、そのポイントについてご紹介いたします。


【施工管理なら知っておきたい】工事現場に仮囲いをする目的とは?

【施工管理なら知っておきたい】工事現場に仮囲いをする目的とは?

住宅の新築工事は、周囲に「仮囲い(かりがこい)」と呼ばれるフェンスを設置して行うことが一般的です。 「仮囲い」は、工事を進めるうえで重要な目的があり、とくに施工管理者は万全な計画を立てて確実に設置する必要があります。 では工事期間中に設置する「仮囲い」の重要な目的とはどのようなことでしょうか? また必ず設置しなくてはならないものなのでしょうか? そこで本記事では、施工管理者が知っておきたい工事現場に設置する「仮囲い」の目的について、詳しく解説したいと思います。


【現場監督の安全管理】工事現場の「5S活動」とはなに?

【現場監督の安全管理】工事現場の「5S活動」とはなに?

現場監督の重要業務のひとつに安全管理があります。 安全管理は、現場に潜む危険を排除し、安全に作業を進めるための環境をつくることが大きな目的です。 そして、安全な環境づくりにはさまざまなアプローチの方法がありますが、なかでも「5S活動」は効果が高いとして多くの現場で取り組まれています。 では「5S活動」とは具体的にどのような活動なのでしょうか? また、取り組むことでどのような効果が期待できるのでしょうか? そこで本記事では、住宅の工事現場で行う「5S活動」とはどのような活動なのか、そして取り組むことで期待できる効果などについて解説したいと思います。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 知識 職人 資格