施工管理の仕事をしていると、「QCDSE」というワードを耳にすることがあります。
「QCDSE」は、施工管理業務を遂行するうえで欠かせない要素であり、また必ず実行することが求められます。
そこで本記事では、「QCDSE」とはなんなのか、また施工管理の仕事に必要な理由について解説したいと思います。
「QCDSE」とはなに?
「QCDSE」とは、以下の通り施工管理に必要な業務について、それぞれの頭文字を組み合わせた言葉です。
- Quality:品質
- Cost:原価
- Delivery:工程、工期
- Safety:安全
- Environment:環境
■Quality:品質
まずは、Quality(品質)の管理です。
施工管理の品質管理とは、確実に設計図面通りの施工ができていることを確認する業務になります。
設計図面は、建て主(施主)の要望やイメージなどを詳細に取り決め作成されたものです。
また建築基準法など法律の基準を満たしていることを着工前に行政が審査する「建築確認」や、その他「中間検査」や「完了検査」にも必要なものでもあります。
もちろん、法律に定められた規定に準じていないと「建築確認」の審査には通りませんし、設計図面通りの施工が行われていないとその他の検査に合格できない可能性があります。
つまり設計図面にあるのは最低限必要とされる品質であり、必ず忠実に守らなくてはいけないものなのです。
施工管理は、図面通りに工事が進んでいることを確認し、確実に品質が確保できていることを管理しなくてはいけません。
■Cost:原価
続いてCost(原価)の管理です。
施工管理の原価管理とは、予算に応じて材料費や人件費、その他経費などすべての原価を管理し、適正な利益を確保するための業務になります。
予算書を作成するだけでなく、工事中にも失敗や出戻りなどによるムダなコストが発生しないようにすることも原価管理のひとつです。
■Delivery:工程、工期
そしてDelivery(工程、工期)の管理です。
施工管理の工程管理とは、工期が遅れないよう進捗を確認し、作業員や材料などを適切に手配する業務になります。
天候やその他要因で遅れた場合でも、時間や人のロスが生じないよう前後の調整を行う必要があります。
とくに工程が遅れることで、引き渡し間際に多くの業者が一度に集中せざるを得ない状況になると品質にも影響する恐れがあるでしょう。
そうならないためにも、それぞれの担当業者が工期を必ず守るよう促すことも必要です。
■Safety:安全
施工管理で最も重要な業務といえるのはSafety(安全)の管理です。
施工管理の安全管理とは、現場に潜んでいる危険を排除し、工事に携わるすべての人が安全に作業できる環境をつくる業務になります。
安全管理が最も重要な位置づけにあるといえるのは、もし安全が怠ることで事故が起こってしまった場合、他の業務も滞ってしてしまう可能性があるためです。
事業主には、労働災害を防止する義務の他、起こった場合の報告義務や補償義務などがあり、これら義務に違反すると、場合によっては刑事罰を受ける可能性もあります。
また再発防止に向けて、他の業者にも展開し、再教育やルールの周知徹底を図ることも必要です。
さまざまな事後処理に追われることになり、他の現場も含め工程や品質などその他管理業が疎かになってしまうかもしれません。
以上のことから、安全管理は最も優先して行うべき施工管理業務といってよいでしょう。
■Environment:環境
最後はEnvironment(環境)の管理です。
施工管理の環境管理とは、大きく3つの考え方があります。
- 自然環境:空気や水、土壌、地盤などの自然環境に配慮すること
- 周辺環境:騒音や振動、粉じんなどで被害が及ばないよう周辺住民に配慮すること
- 職場環境:工事現場で携わる人が働きやすい職場になるよう環境を整備すること
施工管理の仕事は、工事が計画通りに完成すればそれでよいというわけにはいきません。
自然や周辺住民に配慮し、そして工事の完成という目的を同じにする作業員が働きやすい環境をつくることにも配慮する必要があるのです。
まとめ
施工管理の基本業務は「QCDSE」にあり、これらを確実に守ることが求められます。
優先順位についてはさまざまな意見がありますが、自分自身を守り、またキャリアに傷をつけないためにも、とくに安全管理は重要度が高いといえます。
そして、これだけ責任を一手に担える仕事が施工管理であり、そのことが大きなやりがいといえるでしょう。
※この記事はリバイバル記事です。