【施工管理者なら知っておきたい】「QCDSE」とはなに?

【施工管理者なら知っておきたい】「QCDSE」とはなに?

施工管理の仕事をしていると、「QCDSE」というワードを耳にすることがあります。 「QCDSE」は、施工管理業務を遂行するうえで欠かせない要素であり、また必ず実行することが求められます。 そこで本記事では、「QCDSE」とはなんなのか、また施工管理の仕事に必要な理由について解説したいと思います。


施工管理の仕事をしていると、「QCDSE」というワードを耳にすることがあります。
「QCDSE」は、施工管理業務を遂行するうえで欠かせない要素であり、また必ず実行することが求められます。

そこで本記事では、「QCDSE」とはなんなのか、また施工管理の仕事に必要な理由について解説したいと思います。

「QCDSE」とはなに?

「QCDSE」とは、以下の通り施工管理に必要な業務について、それぞれの頭文字を組み合わせた言葉です。

  • Quality:品質
  • Cost:原価
  • Delivery:工程、工期
  • Safety:安全
  • Environment:環境




Quality:品質

まずは、Quality(品質)の管理です。
施工管理の品質管理とは、確実に設計図面通りの施工ができていることを確認する業務になります。

設計図面は、建て主(施主)の要望やイメージなどを詳細に取り決め作成されたものです。
また建築基準法など法律の基準を満たしていることを着工前に行政が審査する「建築確認」や、その他「中間検査」や「完了検査」にも必要なものでもあります。

もちろん、法律に定められた規定に準じていないと「建築確認」の審査には通りませんし、設計図面通りの施工が行われていないとその他の検査に合格できない可能性があります。
つまり設計図面にあるのは最低限必要とされる品質であり、必ず忠実に守らなくてはいけないものなのです。

施工管理は、図面通りに工事が進んでいることを確認し、確実に品質が確保できていることを管理しなくてはいけません。

Cost:原価

続いてCost(原価)の管理です。
施工管理の原価管理とは、予算に応じて材料費や人件費、その他経費などすべての原価を管理し、適正な利益を確保するための業務になります。

予算書を作成するだけでなく、工事中にも失敗や出戻りなどによるムダなコストが発生しないようにすることも原価管理のひとつです。

Delivery:工程、工期

そしてDelivery(工程、工期)の管理です。
施工管理の工程管理とは、工期が遅れないよう進捗を確認し、作業員や材料などを適切に手配する業務になります。

天候やその他要因で遅れた場合でも、時間や人のロスが生じないよう前後の調整を行う必要があります。

とくに工程が遅れることで、引き渡し間際に多くの業者が一度に集中せざるを得ない状況になると品質にも影響する恐れがあるでしょう。
そうならないためにも、それぞれの担当業者が工期を必ず守るよう促すことも必要です。

Safety:安全

施工管理で最も重要な業務といえるのはSafety(安全)の管理です。
施工管理の安全管理とは、現場に潜んでいる危険を排除し、工事に携わるすべての人が安全に作業できる環境をつくる業務になります。

安全管理が最も重要な位置づけにあるといえるのは、もし安全が怠ることで事故が起こってしまった場合、他の業務も滞ってしてしまう可能性があるためです。

事業主には、労働災害を防止する義務の他、起こった場合の報告義務や補償義務などがあり、これら義務に違反すると、場合によっては刑事罰を受ける可能性もあります。
また再発防止に向けて、他の業者にも展開し、再教育やルールの周知徹底を図ることも必要です。

さまざまな事後処理に追われることになり、他の現場も含め工程や品質などその他管理業が疎かになってしまうかもしれません。
以上のことから、安全管理は最も優先して行うべき施工管理業務といってよいでしょう。

Environment:環境

最後はEnvironment(環境)の管理です。
施工管理の環境管理とは、大きく3つの考え方があります。

  • 自然環境:空気や水、土壌、地盤などの自然環境に配慮すること
  • 周辺環境:騒音や振動、粉じんなどで被害が及ばないよう周辺住民に配慮すること
  • 職場環境:工事現場で携わる人が働きやすい職場になるよう環境を整備すること

施工管理の仕事は、工事が計画通りに完成すればそれでよいというわけにはいきません。
自然や周辺住民に配慮し、そして工事の完成という目的を同じにする作業員が働きやすい環境をつくることにも配慮する必要があるのです。

まとめ

施工管理の基本業務は「QCDSE」にあり、これらを確実に守ることが求められます。
優先順位についてはさまざまな意見がありますが、自分自身を守り、またキャリアに傷をつけないためにも、とくに安全管理は重要度が高いといえます。

そして、これだけ責任を一手に担える仕事が施工管理であり、そのことが大きなやりがいといえるでしょう。





※この記事はリバイバル記事です。

関連するキーワード


施工管理 現場監督

関連する投稿


【住宅建設】新築工事が始まる前に現場監督が行う現地調査とは?

【住宅建設】新築工事が始まる前に現場監督が行う現地調査とは?

現場監督は、あらゆる業務を行わなければなりませんが、「現地調査」もそのひとつです。 「現地調査」とは、工事が始まる前に実際の現場を確認する事前調査のことをいい、新築工事やリフォームなど、工事によって調査する内容は変わります。 また現場監督は、工事に取り掛かる前に施工計画を作成しますが、現地を確認しなければ実行性のある計画がつくれるとは限りません。 施工計画に不備があれば工事は混乱し工程に狂いが生じる恐れもあるため、「現地調査」は非常に重要なのです。 そこで本記事では、現場監督が行う「現地調査」について、おもに新築工事が始まる際に確認しておきたいことをご紹介いたします。


【要注意】現場監督の靴のにおい対策とは?

【要注意】現場監督の靴のにおい対策とは?

現場監督にとって、気になることのひとつに「靴のにおい」があります。 とくに新築住宅だけでなく、引き渡し後のアフターサービスやリフォームなども担当している場合は十分に注意しておかなければなりません。 といいうのも、強いにおいがある状態で家のなかに入ると、施主はいやな気持ちになることが予想されるためです。 せっかく品質の優れた建物を建てても、それだけで満足度が下がってしまうかもしれません。 そこで本記事では、現場監督が注意しておきたい「靴のにおい」について、その原因と対策についてご紹介したいと思います。


【超重要】建設業の安全パトロールとは?

【超重要】建設業の安全パトロールとは?

建設業界はさまざまな課題を抱えていますが、とくに施工管理者にとって最重要といえるのは労働災害を防止するための取り組みではないでしょうか。 施工管理の仕事は、多岐に渡ります。 なかでも、現場に携わる人たちが安全に作業できる環境をつくることは最優先に取り組む必要があり、そしてその取り組みのひとつが「安全パトロール」です。 そこで本記事では、施工管理者が行う「安全パトロール」について、その目的やチェックするべきポイントなどをご紹介いたします。


【管工事施工管理技士】受験資格や取得するとできる仕事とは?

【管工事施工管理技士】受験資格や取得するとできる仕事とは?

建設業界でキャリアアップを図るには、資格を取得することが重要なポイントとなります。 とくに施工管理の仕事で活躍したい場合は「施工管理技士」資格が有効です。 「施工管理技士」の資格は7つの種類がありますが、建築工事では欠かせない管工事に携わるなら「管工事施工管理技士」を取得するとよいでしょう。 ただし、「施工管理技士」資格は誰にでも取得できるわけではなく、一定の条件を満たし、かつ試験に合格しなくてはなりません。 そこで本記事では、「管工事施工管理技士」の受験資格や取得するとできる仕事についてご紹介したいと思います。


【忘れっぽい人必見】住宅の現場監督はメモを仕事にしろ

【忘れっぽい人必見】住宅の現場監督はメモを仕事にしろ

現場監督をしていて、新人は特に忘れっぽい人がいます。このような方は、意外に多いです。仕事ができない人というわけではなく、現場監督になるとそのようなことが起こります。理由は、住宅の現場監督は、タスクが以上な量になってしまうからです。細かい伝達内容などが発生し、それをその場で対処したり、数時間後に対処したり、場合によっては別日に対応するなど、非常に複雑になります。1つ1つのタスクは非常に簡単ですが、10個など多くなってくると、全てを覚えておくことは不可能に近いです。この記事では、住宅現場監督が、タスクに埋もれずに、効率的に業務を遂行できる方法としてメモをご紹介いたします。


最新の投稿


【住宅事務必見!】ビジネス書類の作り方|ポイント解説

【住宅事務必見!】ビジネス書類の作り方|ポイント解説

事務の仕事で、文書作成で頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?文書を手紙などで書くこと習慣もなくなってきて、ましてやビジネス用になると何を書けば良いのか、言葉遣いや、書いてはいけない文言はないかなど、気にし出すと手が付けられないとなってしまった経験もあるのではないでしょうか。この記事では、ビジネス書類の作り方のポイントをわかりやすく簡単にご紹介いたします。


【PC初心者】住宅事務の基礎スキルまとめ

【PC初心者】住宅事務の基礎スキルまとめ

住宅事務に転職しようと考えている方は、事務職としてどのようなスキルが必要かについて悩まれる方もいるかと思います。しかし特別なスキルを必要としている企業は少ないです。住宅事務に必要なスキルは、初歩的なPCスキルで十分です。住宅関係の専門知識や、住宅業界特有の仕事内容などは、働いてから簡単に身につくからです。ただし、PCスキルが全くない状態だと、仕事そのものが進まず、仕事とは関係ないPCの操作方法から教えなくてはいけません。せっかく人を雇ったのに、PC教室のような役割を会社がするわけにはいかないのです。この記事では、どの程度のPCスキルが一般的に必要とされているのかについてご紹介いたします。


住宅業界で職人として転職するメリットとデメリット

住宅業界で職人として転職するメリットとデメリット

住宅業界へ転職する場合、営業や施工管理、設計などいくつかの職種が選択肢となります。 そして、実際の工事を担当する「職人」もそのひとつです。 ものづくりにおいて、「職人」の存在は欠かせません。 住宅業界でも同様で、まったくなにもない「ゼロ」の状態から建物をつくれるのは、「職人」の技術があることで実現します。 しかし「職人」を職業にするとしてもメリットとデメリットがあるため、その両方を理解したうえで検討することが重要です。 そこで本記事では、住宅業界で「職人」として転職するメリットとデメリットについてご紹介したいと思います。


住宅業界のリペア業とは?資格は必要?

住宅業界のリペア業とは?資格は必要?

住宅の建築工事では着工から竣工まで多くの専門業者が携わりますが、そのひとつに「リペア業」があります。 「リペア業」とは、住宅の建築工事で使用する仕上げ材や家具、設備などについたキズを補修する業者のことをいい、「補修屋」と呼ばれることもあります。 比較的歴史の浅い技術ですが、住宅の建築工事では補修の工程が当たり前に設定されるなど、非常に注目の業種です。 では、「リペア業」の仕事は具体的にどのようなことを行うのでしょうか? また、「リペア業」の技術を習得し活躍するには資格が必要なのでしょうか? そこで本記事では、住宅業界で注目の「リペア業」とはどのような仕事なのか、そして活躍するために資格は必要なのかなど、詳しく解説したいと思います。


【建設業の転職活動】退職するときに返却するものとは?

【建設業の転職活動】退職するときに返却するものとは?

会社を退職するときには、さまざまな手続きを行わなければなりません。 また、退職後に必要となる書類などを受け取ることも重要ですが、同時に返却しなくてはならないものもあるため注意が必要です。 とくに建設業での返却物は多岐に渡るうえ、適切に返却されなければ場合によっては損害賠償の対象となる可能性もあります。 そうならないためにも、返却が必要なものは事前にチェックしておきましょう。 そこで本記事では、建設業の転職活動において、退職時に返却する必要があるのは具体的にどのようなものなのかご紹介したいと思います。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 知識 職人 資格