住宅営業が知っておくべき建物の知識【屋根の名称編】

住宅営業が知っておくべき建物の知識【屋根の名称編】

お客様と談笑を交えながら、今後の住まいづくりを考えるのは住宅営業の楽しみの1つ。何もないところから、お客様が理想とする住まいを一緒に考えていきますが、やはり一定の建築知識は持っておいた方が良いでしょう。 建物の様式や造りの名称など、建築用語は種類も多く非常に複雑です。もし知らなかったことで、せっかくのお客様からのご依頼をフイにしてしまうかもしれません。


ここでは住宅営業なら知っておいた方が良い住宅の造りや名称を解説しています。建築用語は難しく、言葉の数や言い回しの種類も多いので、種類に分けて解説します。今回は屋根の名称についてです。

一口に屋根といっても造りにいくつかの種類があり、お客様の好みに合わせて屋根の造り把握しておくと大変役に立ちます。最近はデザインを重視した住宅も多いので、屋根の名称はしっかりと覚えておきましょう。

切妻(きりづま)

本を開いて伏せたような形の屋根で、和風住宅でも洋風住宅でもマッチする屋根です。「三角屋根」とも呼ばれています。シンプルな作りで施工もしやすく、雨漏りの心配も少ない屋根の形状をしており、コストも低い事から多くの屋根で利用されている形です。

寄棟(よせむね)

屋根の傾斜が2面の切妻に対し、4面あるのが寄棟屋根です。屋根の頂点に大棟があり、雨水をよく流して建物に当たる日差しを防ぎます。一方で、屋根に壁面が無いので屋根裏が狭く、換気が悪くなりがちなので換気扇や空気の循環する工夫が必要となります。

方形(ほうぎょう)

寄棟の様に屋根面が4面あり、屋根の頂点には大棟は無く外観はピラミッドのような形状をしています。寄棟と同様に雨水や日の当たりに強いですが、屋根裏の換気が悪くなりがちです。一般的な住宅にはあまり見られず、寺院などでよく使われている屋根の作りです。

入母屋(いりもや)

屋根の上部が切妻屋根で、下の部分が寄棟屋根の形状になっている屋根です。水はけや日崎にも強く、屋根裏も高く壁面もあるので換気も良いのが特徴です。切妻と寄棟の良い面を持った屋根ですが、屋根の構造が複雑なのでコストもメンテナンス費用も高くなります。

片流れ(かたながれ)

片流れは、片方だけの屋根で。一方向に向かって流れている屋根のことです。シンプルな形で人気もあり、太陽光発電の普及により一般的な住宅にも多くなってきました。屋根全体で受けた雨水を片側だけに流すので、雨樋は大きく丈夫なタイプを使用します 。

差し掛け(さしかけ)

切妻屋根を上下にずらした形の屋根です。片方の屋根は長く、反対側の屋根は短いのが特徴で「招き屋根(まねきやね)」とも呼ばれます。上下にずらした屋根と屋根との立ち上がり壁に、窓や通風口を設けることで、換気や採光をよくすることができます。

バタフライ

切妻屋根をひっくり返した様な形で、屋根の中心が低く外側が高い屋根の形状になっています。建物を個性的に演出できるので、商業施設やマンションの屋根によく利用されています。屋根の谷になる部分は雨水が集まるので、定期的なメンテナンスや点検が必要になります。

まとめ

屋根の種類にはこの他にもありますが、ここに紹介した屋根の形状は一般住宅でよく使われる形をしているものばかりです。住宅営業として、屋根の知識をよく知ることでお客様にもご提案する事ができます。

また、屋根の形によっては屋根の上に載せられる屋根材が制限されることもあります。屋根の形と一緒に、瓦やスレートなどの屋根材についても覚えておくとよいでしょう。

屋根は建物にとって重要な部分です。しっかりと形や特性を覚え、お客様のご要望に応えられるようにしておきましょう。




※この記事はリバイバル記事です。

最新の投稿


施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

建設業界の仕事は、「体力が必要で、高齢者にとってはきついのでは?」というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか? 確かに、高齢化にともない筋力や視力の衰えなど身体機能の低下による影響が出てくることは、安全面で不安な部分が生じてくる可能性があります。 しかし一方で、業界の著しい高齢化に対応するべく、高齢者へ配慮された現場の環境づくりは徐々に進んでいます。 では、施工管理の仕事は何歳までできる仕事なのでしょうか?また高齢者でもできるのでしょうか? そこで本記事では、施工管理はいったい何歳までできる仕事で高齢者でも可能なのか、ご紹介したいと思います。


【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

建設業界の労働災害は、減少傾向にあるとはいえ他の産業と比べても多く発生しています。 また、工事現場で作業に従事する人は、労働災害にいたらないまでも「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりといった経験は少なからずあるでしょう。 このような、つい見過ごしてしまいがちな「ヒヤリハット」を認識し、危険の芽を摘み取ることが労働災害を防止するうえで重要になります。 そこで本記事では、建設業界の「ヒヤリハット」を認識することの重要性について、事例を交えながらご紹介したいと思います。


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


安全管理の具体的業務|現場監督の責任

安全管理の具体的業務|現場監督の責任

現場監督にとって、安全管理業務は最も重要な仕事です。危険が多い建設作業で、無事故で完工することを一番の目的にする必要があります。安全管理は具体的にどうやっているの?そもそも各自が安全管理をするだけではダメなのか、など現場監督の重要性と責任についてご紹介いたします。