家を建てる前に行うイベントに「地鎮祭」があります。
「地鎮祭」は何のために行うのか、また「地鎮祭」のときに現場監督はどのような役割を担うのか、よくわからないという人も多いのではないでしょうか?
とくに現場監督にとっては、工事のスタート地点にもなるため失敗しないためにもしっかりと流れを理解しておきたいものです。
そこで本記事では、「地鎮祭」はどのような目的で行うものなのか、また全体的な流れと現場監督が担う役割などについて解説したいと思います。
地鎮祭の具体的な流れとは?
地鎮祭は、これから家を建てる土地の守護神を迎え、土地を使わせてもらうための許可を得ること、そして工事の安全祈願をすることなどがおもな目的です。
日本書紀にも地鎮祭を行ったという記録が残っているなど、非常に歴史の古い儀式となります。
■地鎮祭の参加者
地鎮祭は、神職(神主)によって執り行われますが、主役となるのはもちろん建て主(施主)です。
またその他には、新築工事に中心となって関わる人が参加することになります。
おもな参加者は、営業担当者や設計担当者、施工管理担当者(現場監督)などで、その他必要に応じて工事業者が参加することもあります。
■地鎮祭の設営
地鎮祭は、新築する土地の中央を使用して設営することが一般的です。
土地の四隅に青竹を立てて注連縄(しめなわ)を張って囲い、そのなかに祭壇を設けます。
住宅会社によっては、テントを設置し紅白幕を張って行うケースもあります。
このときの設営の手配や準備は、現場監督の仕事になることも多く、日取りも重要になるためスケジュール管理などはとくに注意が必要です。
仮設業者への依頼の他、当日には早めに到着して不備はないか確認をすることや、また必要に応じて手伝いなど雑用をすることもあります。
■地鎮祭の流れ
地鎮祭の一般的な流れについて、簡単にご紹介いたします。
- 修祓(しゅばつ):神職が祭壇や参列者をお祓いする
- 降神(こうしん):祭壇に神様をお迎えする
- 献饌(けんせん):神様にお供え物を献上する
- 祝詞奏上(のりとそうじょう):土地の守護神に平安と工事の安全を祈願する
- 清祓(きよはらい):土地の四方と中央をお祓いする
- 地鎮(じちん):設計者、建て主、施工者で盛砂をならし、その他神職による鎮物の埋納など
- 玉串奉奠(たまぐしそうじょう):参列者全員で玉串をお供えする
- 撤饌(てっせん):お供え物を下げる
- 昇神(しょうしん):神様にお帰りいただく
- 直会(なおらい):お供えした御神酒を参列者一同で乾杯する
以上が地鎮祭の簡単な流れで、全体で30分程度の儀式となります。
これらのうち現場監督が行うものに、「地鎮の儀」があります。
「地鎮の儀」は、盛砂に対して鎌(かま)、鍬(くわ)、鋤(すき)を使い、設計者と建て主、そして施工者の3者が中心となって行われる一連の儀式です。
このうち、鋤を使って盛砂を掘る役割を、施工者の代表である現場監督が担うことがあります。
そして、3者とも盛砂への所作を行うときには、「エイ、エイ、エイ」と元気よく掛け声を発することがポイントです。
なお、地域や神社によって形式が異なる場合もあります。
また現場監督は、地鎮祭までに建物の配置を示す地縄張りをしておくことが重要です。
設営のときに配置の目安となる他、建て主にとっても建物が建つ場所や通路の幅などイメージしやすいため、地鎮祭後に打ち合わせをするときもスムーズに進行します。
地鎮祭の後は近隣への挨拶回りが一般的
地鎮祭が終わると、建て主とともに近隣挨拶に回ることが一般的です。
挨拶には、施工会社や工事担当者、連絡先、そして工事のスケジュールなど必要事項を記載した挨拶状を作成し、多くの場合はあらかじめ用意した粗品といっしょに渡します。
工事が始まると、騒音や工事車両の出入りなど、迷惑をかけてしまうかもしれません。
建て主が近隣と顔見知りであれば、あらかじめいっしょに行って挨拶をしておくと、「お互いさま」という意識からトラブルを回避するうえで大きな効果が期待できます。
新しく土地を購入してまったく面識がない場合でも、顔合わせをしておくと工事後にも良好な関係を築きやすくなるでしょう。
そして、挨拶の範囲は最低でも「向こう三軒両隣」は回っておく必要があります。
「向こう三軒両隣」とは、現場の向かい側3軒と裏側3軒、そして両隣2軒を指します。
またその他にも、工事車両が頻繁に通行するような場所には、挨拶しておくとトラブルに発展することも少なくなるでしょう。
まとめ
地鎮祭は、建て主にとって強く記憶に残る最初のイベントです。
そして、建て主だけでなく営業担当や設計担当などが、工事期間中に一堂に会する機会はそれほど多くありません。
お互いに信頼関係をつくり、安全に工事を完成させるためにも、事前にしっかりと準備をして臨みましょう。
※この記事はリバイバル記事です。