住宅建築の現場監督の仕事内容は多岐に渡りますが、なかでも優先して取り組むべき仕事といえば「安全管理」です。
「安全管理」の仕事とは、現場にある危険を取り除き、安全に作業を進められる環境をつくることで、とくに現場で起こる事故の防止を最大の目的とします。
現場の安全を確保するためには現場監督がリーダーシップを発揮し、すべての現場入場者に正しい行動を促さなければいけません。
なぜなら、必要な「安全管理」を怠って事故が起こってしまった場合は、すべてが台無しになってしまう可能性があるためです。
そこで本記事では、現場監督が行う「安全管理」の仕事について、具体的な内容を深掘りしていきたいと思います。
現場監督が行う安全管理の仕事とは
現場監督の仕事のうち、とくに重要なものは以下の4つになります。
- 工程管理
- 安全管理
- 品質管理
- 原価管理
これらはいずれも重要な仕事であり、どれも欠かすことはできません。
しかし、最も優先するべき仕事といえば安全管理といってもよいでしょう。
というのも、現場で一旦事故が起こってしまうと、ほかの仕事が立ち行かなくなる可能性が高くなるためです。
例えば、事故が原因で工事がストップしてしまうと工程管理どころではなく、また工期が遅れると品質が疎かになる可能性が高まります。
建て主(施主)の立場からも、事故があったことを知ったらイヤな気持ちになることは必然で、満足度も下がるでしょう。
安全管理の具体的内容とは
現場の安全な環境づくりを進めるにあたり、現場監督が具体的にどのようなことを実行しているのかご紹介いたします。
■作業環境の整備
まずは実際に作業をする現場の安全をしっかり確保することが重要です。
現場内に「危険」が存在していないかチェックし、もし「危険」があるようなら速やかに取り除く必要があります。
ときには安全パトロールを実施し、会議を通じて関係業者に評価を展開するなど、安全意識の向上を図ることもポイントです。
また「危険」には環境的要因と人的要因があり、いずれも重大な危険要素となるため徹底して排除しなくてはいけません。
作業環境の整備について、その具体的な内容とは例えば以下のような内容があります。
- 足元の段差を注意喚起する
- 転落防止の手すりなどの設置状況を確認する
- ヘルメットのあごひもの固定を確認する
- 安全帯の正しい使用を確認する
- 工具の安全性を点検する
- 現場作業員の健康状態を確認する
■KY活動
KY活動とは危険予知をする活動のことで、「KY」とは危険(K)予知(Y)のそれぞれの頭文字を組み合わせたものです。
過去に危ないと感じた経験をもとに工事現場に潜んでいる危険を予知し、それらを回避するための対策を検討するなど、労働災害を未然に防ぐことを目的に行われます。
そして、目線が異なる複数の人で意見を交わし、それらを共有すれば個人では気付けなかったことでも新たな発見が得られます。
相乗効果が働いて、より安全意識を高められる点でも有効な方法といえるでしょう。
■5S活動
5S活動とは「整理」「清潔」「整頓」「清掃」「しつけ」の5つの頭文字を組み合わせたもので、これら一連の取り組みのことをいいます。
現場がいつもきれいな状態を維持し、全員が守ることで危険の排除と安全の確保につながります。
また安全だけでなく、工事の効率化が進み品質の向上も図れることも、この活動の大きなメリットといえるでしょう。
■リスクアセスメント
リスクアセスメントとは、労働安全衛生法によって導入された、現場に潜む危険を特定し排除するための手法です。
リスクアセスメントの進め方を簡単にご紹介いたします。
まずは、現場に潜んでいる危険性を特定し、それらの分析および評価を行います。
危険性の度合いに応じて優先度を設定し、その優先度が一定以上に到達している対策について実施を進めていくことになります。
また、データを残して定期的に振り返り、必要に応じて評価を見直すことも重要です。
建設業事業者には、リスクアセスメントを実施して労働災害を未然に防ぐ努力義務が課せられていることは理解しておくとよいでしょう。
まとめ
現場監督にとって安全管理は、施工管理業務のすべてにおいて優先するべき仕事といっても過言ではありません。
安全が損なわれ、万が一労災事故が発生すると、他の業務にも支障が及ぶ可能性はきわめて高くなります。
とくに目上に人などにはいいにくい面もあるかもしれませんが、現場に携わるすべての人や、さらにその家族を守るためにも必ず徹底する必要があります。
安全管理に関することは、絶対に譲ることなく毅然とした態度で臨みましょう。
※この記事はリバイバル記事です。