新築信仰とは
新築信仰とは、新築住宅の購入しか考えず、中古住宅などは購入の検討にも入らない方が多いということです。前に住んでいた人がいる住宅を購入したくないという生理的な面や、せっかく生涯住まう住宅を買うなら新品が良いという思いもあるでしょう。
新築信仰という言葉には、本来は中古住宅の方が得なのに新築住宅を欲しがる、という意味が込められています。しかし、本当にそうなのでしょうか。日本で新築住宅を購入したいというニーズが高まっている理由について考えてみましょう。
■中古住宅の流通量は全体の約14.5%
中古住宅の流通量は、2018年の総務省および国土交通省の統計によると約14.5%です。アメリカ約81%、イギリス約86%、フランス約70%と比べると、日本は非常に低い比率であることがわかります。
海外と比較して、ここまで中古住宅の流通量が低いことからも日本は新築を好む傾向にあることがわかります。
中古住宅を購入しない理由
中古住宅を購入しない理由について、日本人が考えていることを列挙してみました。中古住宅にメリットがあれば、自然に流通量も多くなるはずです。しかし、そうはなっていない理由について考えてみましょう。
■中古住宅の状態が不透明
まずよく言われているのは、中古住宅の状態、メンテナンスの有無、済み始めてから不具合が起きる可能性について知るデータがないということです。最近では建物状況調査などの提案がなされるようになり、徐々に中古住宅の流通を増やそうとする試みもなされています。
■間取り、性能の問題
間取りの流行りがあり、築年数が20年を超えてくると、狭いリビングなどの間取りが主流です。現在は広いリビングが好まれる傾向にあり、中古住宅を購入する際の障壁にもなっています。
また、耐震、断熱といった住宅性能も年々上がってきているため、中古住宅を購入するよりもローコスト住宅を購入した方が住宅性能及び住宅設備についても高性能で費用もお得感があります。
日本は地震などの自然災害も多く、建築基準法が更新されたりより安心な住宅設計が開発されています。これらの理由により中古住宅を購入するには不安があるという方も多いです。
■価格のお得感がない
中古住宅は、安くて当たり前と思われるかもしれませんが、実際はそこまで安いということはありません。もちろん築30年や築50年を超えるような物件についてはかなりの安価で販売されていることもありますが、それらは住むためにはかなり劣化し過ぎており、住宅性能もかなり低く、快適な住まいというわけにはいかないことが多いです。
そして劣化が著しくない築10年などの住宅は、実は価格としてはそこまで安価になっていないということが多いです。例えば築10年で3000万円の住宅があったとし、新築住宅を建てるとすると2500万円の物件があったとします。中古住宅の方が値段が高いため、住宅性能も高いことが予想されます。しかし、これからメンテナンス費用がかかり、劣化状況がわからないものより、建築基準法に則った最新の住宅で、設備も最新の安い住宅の方が魅力的に見えるのは当然ではないでしょうか。
車の例を出すと、10年落ちの当時最高グレードのプリウス150万円と、新車で最低グレードのプリウス250万円ではどちらを購入したいでしょうか。このような心理が住宅にも働いていることは間違い無いでしょう。
■税制優遇がない
日本は、新築住宅に税制優遇があります。不動産取得税や固定資産税など、新築住宅の購入を促すような措置がなされており、これらも新築住宅を購入する意思決定を後押ししています。
そもそもなぜこのような制度があるのでしょうか。日本の住宅ストックを災害に強いものにするためと、国が住宅メーカーの経済効果を後押ししていると言えるでしょう。新築住宅ではなく、中古住宅がメインの市場に変えるとなると、住宅メーカーは大打撃です。このような理由からも、新築住宅市場を後押しするようなトレンドを作ってきたのは国とも言えます。
中古住宅の付加価値は、土地の価値が高い場合のみ!?
中古住宅を購入する場合は、どのような場合でしょうか?実際の市場を見てみると、どうしてもその土地に住みたいと考えている場合や、新築購入よりも明らかに費用感もお得と感じた場合などに限られているようです。大手ハウスメーカーなどで建てた住宅で、住宅性能や劣化状況が明瞭になっている場合にも流通しやすいようです。