売れない営業の特徴から見る住宅営業に必要な共感力と質問力

売れない営業の特徴から見る住宅営業に必要な共感力と質問力

売れない営業ほど、共感できない質問ができないと言われます。そして「共感する力が足りない」と言われても、本人は何がダメなのかわからないものです。今回は、そのような共感力と質問力というものについて、具体的にわかりやすくご説明します。実際の営業の典型例とともに見てみましょう。


売れない住宅営業の典型例

売れない住宅営業の特徴について、典型例をご紹介いたします。あなたの身近にもこのような営業がいるのではないでしょうか?また、たまに同じような発言をしてしまっているということもあると思います。

今回は、2種類の営業を見てみましょう。

自分の中で答えが出ている

自分の中の答えをお客様に押し付けてしまっている営業です。お客様が「間取りは4人家族だけど5LDKにしたい」と言ったとき、営業が「必ず一部屋を使わなくなり必要もないので予算面で4LDKの方が現実的だと思います」と間髪入れずに答えてしまうなどです。

確かに予算面で厳しく、打ち合わせが長引いているときなどは、このように答えたくなるかもしれません。しかし、まずは「5LDKも良いですね。1部屋はどのように使われる予定ですか?」と聞き、その用途と予算から折衷案をお客様と一緒に考えていきましょう。そして最終的に、5LDKは無理で4LDKにするという判断をお客様にしてもらうまで考えれば良いのです。

お客様は初めて住宅を建てる方がほとんどです。住宅の決まりや予算感も何もありません。全て自由に組み立て、予算を自由に使い所を分けられると考えています。打ち合わせを重ねて、お客様と一緒に結論を出すということを意識しましょう。営業が思いも寄らないアイデアが出ることもあります。

営業だけでなく、設計者もこのようにお客様に寄り添うことが必要です。

他にはありませんか?という質問ばかり

打ち合わせや営業電話で、2,3個目の質問で「他にはありませんか?」とすぐに聞いてしまう営業がいます。便利な質問であることは間違い無いのですが、質問はニーズを引き出すためにします。

この質問は、営業がニーズをうまく引き出すのではなく、お客様自身にニーズを見つけてもらっています。これであれば、営業は要らないといっても過言ではありません。営業がお客様が本当に必要と思えるものをヒアリングし、それを叶えるものの選択肢を広く提示できるようにしましょう。

つまり、お客様が生活している風景を思い出しその中で感じている不満を洗い出す作業をうまく行ってみましょう。

共感力と質問力が営業スキルを左右する

住宅営業は、共感力と質問力を磨くことが重要です。これらは、お客様を契約に導くというより、人対人として気持ちよく会話を成立させ、相手と仲良くなる方法とも同じです。

普段、友達になる人というのはお互いに価値観が似ていたり、話が合う気が合うという方では無いでしょうか?友達にならず、知人という関係の場合、特に話が合うこともなく、意見が合わないときも自分の考えを述べて衝突するか、そもそも話さないでしょう。

しかし、営業は全ての人と仲良くなるというスタンスが必要です。そのため、自分の意見を通す必要もないですし、相手の価値観を尊重しそれに同意します。間違えてはいけないのは、お客様とあなたは唯一無二の親友やこれからも長く付き合いができる友達になりに来ているわけではありません。あなたの価値観を理解する必要もなければ、合わせる必要もありません。営業がお客様の価値観を理解し、尊重することが大事です。

共感力は、お客様の価値観に合わせる能力

共感力は、お客様の価値観を尊重しそれに同意する能力です。これを理解していないと、お客様と仲良くなろうとした際に、自分の価値観や感想を述べ、自分という人柄をまずは知ってもらい親密になろうとします。相性によってはハマることもありますが、加減に注意しましょう。

上述した「自分の中の答えが出ている」という営業も、自分の答えは正解では無いということを知りましょう。相手の選んだ答えを尊重し、なぜその答えに至ったのかをヒアリングし、その気持ちに同調して一緒に設計に落とし込みましょう。

「そうですね。おっしゃる通りですね。」と言った言葉が、共感力を鍛える言葉としていることもありますが、そうでは無いことがわかると思います。共感力の低い人が、まずは「そうですね。」と答えることで、すぐに反対してしまうという癖を治すツールであると考えましょう。

質問力は、お客様の信頼を得る能力

質問力は、お客様の信頼を得る能力と考えましょう。質問によって、お客様のことを考えているのかを伝えることができます。

「明るく広々と暮らしたいというコンセプトであれば、ダウンライトにして数を多めにするのはどうでしょうか?リビングも広く明るい雰囲気になります。」など、簡単な受け答えですがこれだけでもお客様は自分たちのことを考えてくれていると感じることができます。
そしてお客様から「それがいい。」もしくは「ダウンライトは実際の雰囲気はどうなるのか不安」などの返答をもらい、それらに対して提案をしていきます。ここで、新たな不安(質問)が出ました。

「他に何かありますか?」という質問をすぐにすることが、いかに質問力が無いかわかると思います。自然とお客様から質問を引き出すことが重要です。

関連するキーワード


住宅 営業

関連する投稿


【空き家問題】リスクと活用方法とは?

【空き家問題】リスクと活用方法とは?

現在、住宅業界の課題となっていることのひとつに「空き家問題」があります。 「空き家問題」は、少子高齢化による人口減少の影響から今後もさらに深刻化することが予想されています。 また、空き家を放置することは、周辺環境の悪化などさまざまなリスクがあるため、なんらかの対策が必要です。 このような背景から空き家対策として法的な整備も進んでおり、場合によっては所有者に処分や罰則が科されるケースがあることは注意が必要となります。 しかし、空き家の所有者は、放置することのリスクに対し、どのような対応をすればよいでのしょうか? そこで本記事では、空き家を放置するリスクとおもな活用方法について解説したいと思います。


住宅営業マンは嫌われる?いえ、あなたが嫌われているだけです

住宅営業マンは嫌われる?いえ、あなたが嫌われているだけです

住宅営業は、何千万円もするものを扱っているため施主様も非常に慎重になっています。そのせいで、施主様の感情を読み取ることができない営業マンが多いのも事実です。慎重になっているだけなのか、営業を警戒しているのか、それともあなたを嫌っているのか。営業は少し方法を間違えると嫌われる仕事です。反対に下手なことをしなければ、営業だから嫌われるというわけではないです。もし嫌われているのであれば、営業マンのあなたが原因です。原因についてそれぞれ解説していきます。


満足度アップ!住宅営業が持っておきたい資格6選

満足度アップ!住宅営業が持っておきたい資格6選

住宅営業は資格を持っている方がほとんどです。しかし、営業は資格がなくてもできる仕事なのになぜ資格を取得する必要があるのでしょうか?もちろん数千万円の契約のため、資格を持っていたらお客様は何となく安心であったり、知識も付くでしょう。ただ資格を取得して満足するのではなく、営業として意味のある使い方をしましょう!そのためにどの資格が役立つのか6つご紹介いたします。


注文住宅営業は施主の暮らし方を知るべし

注文住宅営業は施主の暮らし方を知るべし

注文住宅を購入しようとしている施主様は、今の暮らしに何かしらの不満を持ち、次の新しい住居に期待を抱いています。しかし、施主様はその不満やニーズをうまく営業や設計者に伝えることはなかなか難しいです。そこで、注文住宅営業は積極的に施主様の暮らし方を知るようにするべきです。ここまで信頼関係が築ければ、施主様も他社に行くことなく、気持ちよく住宅購入に踏み切ることができます。


【お金・土地・建物】住宅営業が知っておきたい知識3選

【お金・土地・建物】住宅営業が知っておきたい知識3選

住宅は何千万とするものであり、契約に際して様々な知識を必要とします。住宅は一生涯穏やかに過ごすために重要なものです。営業もお客様より知識がない状態で売ってしまうことは失礼ではないでしょうか?とはいっても、全ての情報を網羅することは非常に難しいです。それぞれの分野に専門家がいる世界です。そこで、住宅営業として最低限まずは知っておきたい知識について3つご紹介いたします。


最新の投稿


現場に労働基準監督署がやってきた!役割、現場監督の気持ち

現場に労働基準監督署がやってきた!役割、現場監督の気持ち

住宅業界だけでなく、建設業界では馴染みの深い(?)労働基準監督署についてご紹介いたします。労基(ろうき)と略して言われますが、今日は労基がくるぞ!などと会社としては身構える日になります。書類関係や現場をチェックされ、違反などがあれば是正勧告などの指導が入ります。違反が重大なもので、指導に従わない場合、行政処分もあります。現場監督は問題がないように書類関係の準備や現場を普段から安全管理等しっかりと行う必要があります。


【土地家屋調査士】仕事内容や資格試験などを解説

【土地家屋調査士】仕事内容や資格試験などを解説

住宅業界には、資格を有していないとできない仕事が多くあり、「土地家屋調査士」もそのひとつとなります。 また、住宅を新築するときには、土地を購入し、そこに建物を建てて登記が行われるという大きな流れとなりますが、この間にはいくつもの法的な手続きが必要となります。 しかし、これら手続きの多くは誰にでもできるわけではありません。 なかには有資格者である専門家が行わなければならないことが定められており、そして「土地家屋調査士」でなければできないことも含まれています。 そこで本記事では、「土地家屋調査士」のおもな仕事内容や、資格試験の概要などについて解説したいと思います。


【空き家問題】リスクと活用方法とは?

【空き家問題】リスクと活用方法とは?

現在、住宅業界の課題となっていることのひとつに「空き家問題」があります。 「空き家問題」は、少子高齢化による人口減少の影響から今後もさらに深刻化することが予想されています。 また、空き家を放置することは、周辺環境の悪化などさまざまなリスクがあるため、なんらかの対策が必要です。 このような背景から空き家対策として法的な整備も進んでおり、場合によっては所有者に処分や罰則が科されるケースがあることは注意が必要となります。 しかし、空き家の所有者は、放置することのリスクに対し、どのような対応をすればよいでのしょうか? そこで本記事では、空き家を放置するリスクとおもな活用方法について解説したいと思います。


【現場監督がよく使う建設用語】斫り(はつり)とはなに?

【現場監督がよく使う建設用語】斫り(はつり)とはなに?

住宅の新築工事において実際に施工を行うのは専門業者です。 しかし、場合によっては現場監督が行うケースもあり、例えば、きわめて小規模な「斫り(はつり)作業」もそのひとつとなります。 「斫り」は、工事現場でよく使用されるワードですが、いったいどのような作業のことをいうのでしょうか? そこで本記事では、現場監督がよく使う建設用語「斫り」について、具体的にどのような作業なのか解説したいと思います。


住宅現場で4Sを実践しよう!整理・整頓・清掃・清潔

住宅現場で4Sを実践しよう!整理・整頓・清掃・清潔

4Sという言葉を聞いたことがありますか?住宅の工事現場だけなどではなく、他業界でも多く用いられている言葉です。職場環境を改善するための活動で、整理、整頓、清掃、清潔、(しつけ)のことを4Sもしくは5Sと言います。この記事では、住宅現場において、4Sを行うことでどのようなメリットがあるのかについて、そもそも4Sとはどのようなことをすれば良いかからご紹介いたします。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 職人 資格 現場監理 働き方改革 知識