現代社会はインターネットやSNSの普及で、これまでは普通だと考えてきた言動や行動がネット上に晒され、いわゆる「炎上」騒動を起こす事があります。 炎上したお店や企業では閉店や廃業することもあり、大企業では自社の株価や風評被害で莫大な損失を出すこともあります。
建築業には、現代社会に追いついていない悪い習慣や慣例などが残っています。「真面目に仕事をしていれば何やってもよい」や「腕が良ければ何でも許される」といった、一般社会とかけ離れている常識があるのは事実です。
住宅の施工管理は、建築業界の中でも施主様と一番近い距離で仕事をします。そのため、自身の行動だけでなく現場で働く職人さんの管理監督の状況もお客様に見られているので、引き締めて施工管理業務をしなくてはなりません。
営業の獲得した仕事を台無しにしてはならない
施工管理の仕事をしている人間で「営業」と名が付く仕事をしたことがある人はいるでしょうか?営業の仕事は、お客様のとの信頼関係を作る事か始まります。取り扱う商品が高価なものほど、その信頼関係を作り上げる時間は長くなります。
住宅営業に関しても、お客様にとっては一生に一度の高価な買い物になるかもしれませんので、じっくりと信頼関係を作り上げて契約に至ります。お客様は担当営業を信頼して高価な住宅の購入を決めるのです。
これは以前実際にあった話ですが、建築状況を見に来られた施主様の質問に「自分たちに任せておけばいい」などと、施工管理者が冗談めいて言った言葉を不快に感じた施主様が、会社に乗り込んで社長に散々文句を言った挙句、工事を止めろと大騒ぎになった事があります。
社長の謝罪と施工管理の交代でトラブルを回避することができましたが、今の時代ではこのようなことが起きたらどうでしょうか?
インターネットやSNSでこの問題は拡散され、世間一般にトラブルが公となります。そうなれば会社の信用は失墜し、信頼回復のためにどれほどの時間とコストが必要となるか計り知れず、拭う事の出来ない悪いレッテルを貼られることでしょう。
このように、建築現場での不用意な発言や行動で、担当営業が積み上げてきた信用も一瞬にして壊してしまう事があります。住宅の施工管理者は、お客様に見られている事を常に意識して業務に当たらなくてはならないのです。
工事が始まったら周辺の方々への配慮を怠るな
施工管理の業務の中に「工事前のご挨拶」があります。建築中には、工事の音や工事車両の出入り。また工事中の粉塵の発生が起きるので、事前に周辺住民にお伝えすることでトラブルを避けることができます。
しかし、挨拶は工事前に1回すれば良いと思い込んでいる施工管理は実際にいます。
事前に伝えたのだからOKではいけません。大型車両が現場に入る日や大きな音を出す工事を行う時。また、予定していた工期を過ぎる場合なども、挨拶やご連絡の用紙を入れるといった配慮を行いましょう。
施主様同様に、周辺住民の方も仕事の様子を見ています。「工事になんの挨拶も来ない」や「道を勝手に塞いで工事している」といったクレームは、会社だけでなく施主様にも大きな迷惑をかけることになるのです。
出入り業者にも指導の徹底を
工事には様々な業者が出入りすることになりますが、前述したように建築業界には悪しき習慣や慣例が残っています。出入り業者への素行や風紀の徹底も施工管理の重要な役目です。
今ではほとんど見なくなりましたが、寒い朝などは現場で廃材を燃やして職人さんらが焚火をしていました。住宅街でのこのような焚火は、自治体によって禁止されている場合があります。
また、焚火のせいで洗濯物や部屋の中が煙臭くなったといったクレームが来ることもあります。現場での焚火くらいと軽く思わずに、十分に気をつけておきましょう。
他にも煙草のポイ捨てやゴミや空き缶の片づけなども徹底して指導して下さい。出入りの職人さんは他社の人間でも、知らない人から見ればあなたの会社の看板を背負っている人に見られています。施工管理者として、このような指導は徹底して行いましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
施工管理の仕事はマルチタスクなので、このような事になかなか手が回らない事は十分に承知しております。しかし、営業が一生懸命に営業活動を行って取ってきた仕事も、施工管理の不手際によって一瞬で無くなることも、今後の営業活動をも困難にしてしまう事があるのです。
住宅建築では、施工管理を含めて職人さんや出入りする業者の方も、施主様や周辺住人の方に一緒くたに見られます。管理者としてしっかりと規律ある現場にまとめ上げ、会社の風評被害や間違ったイメージを出さない様に気をつけましょう。
※この記事はリバイバル記事です。