建設業法の概要
建設業法というのは、1949年に初めて制定され、建設業を営むにあたり守らなければならない法律です。建築基準法は建築物の耐震性などを担保するために必要な技術や方法を定めたもので、建設業法とは別のものになります。
全てを暗記して覚えることは困難であり、法律の専門家でないと難しい内容も多いです。そこで、わかりやすく下記2つについてまずご説明いたします。
・建設業法の目的
・建設業法の対象事業
■建設業法の目的
「公共福祉増進の寄与」が大きな目的となります。そしてこれに付随して、建設工事の適正な施工、発注者保護、建設業の健全な発達促進を目的としています。このために建設業を営む者の資質向上、建設工事の請負契約の適正化なども記述されています。
建設業を行うためには、「建設業許可」が必要であったり厳格なルールがあります。また、建設会社に発注を行った者が、専門的な知識がないために施工不良をされたりすることも防ぐ意味合いもあります。
また、元請負人と下請負人では元請負人の方が優位な立場にあります。このことで下請負人が不利な契約を強行されたりすることを防ぐことも求められています。下請負人が過度に安い見積もりで契約させられ、工事自体が施工不良などになることを防ぐという意味もあります。
■建設業法の対象事業
500万円以上の工事を請け負う会社は建設業法上の「建設工事」と定義されます。
500万円以下の工事のみを請け負っている会社や、建築一式工事として1500万円以下のみの工事を行なっている会社は、建設業許可が必要ありません。リフォーム会社などが当てはまります。
つまりリフォーム会社以外の事業者は基本的には、建設業の許可が必要といえます。
現場監督、主任技術者について
建設業法では、主任技術者と定義されていますが、一般的に現場監督と呼ばれているものです。
・主任技術者、監理技術者の設置義務
・下請負人との関係
これら2つについてわかりやすくご説明いたします。
■主任技術者、監理技術者の設置義務
建設業法第26条で、主任技術者の設置が義務付けられています。主任技術者は、現場施工における技術管理を行います。また、請負金額が一定以上の場合には監理技術者という有資格者をおき、公共工事などでは現場に専任で配置する必要があります。
つまり、現場の職人だけで工事させてはいけないということです。理由は、職人というのは元請け業者ではないことがほとんどで、工事内容を全て把握しているわけではないためです。工事を受注した元請負人が責任持って管理を行う必要があります。
■下請負人との関係
現場作業員は、現場監督の指示に従わなければならないと決められています。しかし、あくまでも元請負人と下請負人は対等な立場であるとしているため、高圧的な態度などをお互いにとってはいけません。
元請負人は、下請負人を指導する義務も負っています。下請負人が違法行為を行なっている場合に、それを発見した際には速やかに是正指導を行う必要があります。これらを見逃すことは元請負人にも責任が問われます。
下請負人が再下請負人を使うことも多いです。元請負人はこれらすべての下請負人に対して様々な義務を負います。たとえ元請負人が法律に準拠した業務を行なっているからといって、下請負人が違反していれば施工に支障が出ます。
このように施工自体に支障が発生した場合、元請負人は責任を負わないとなってしまうと、建築工事自体の契約を行ったものが責任を負わない形になってしまい、様々な弊害が生じます。そのため元請負人は全責任を基本的には負うことになっています。
建設業法に違反した場合の罰則例
実際に建設業法に違反した場合、どのような罰則があるのでしょうか。
・3年以下の懲役、300万円以下の罰金
建設業許可を受けずに500万円を超える工事を行なった場合など
・6ヶ月以下の懲役、100万円以下の罰金
虚偽の書類を作成した場合など
・100万円以下の罰金
主任技術者を配置しなかった場合など
・10万円以下の過料
過料というのは、違反行為に対して課せられるもので、掲示義務などを怠った場合などに当てはまります。
一番重い罰則から、刑事罰に問われないものまであります。個人が違反した場合でも、その個人のみの責任ということではなく、会社全体としてその責任が問われます。会社は多額の罰金が科せられたり、建設業許可が取り消されることもあるため、法律遵守を徹底しましょう。
※この記事はリバイバル記事です。