建設業界でFAXが主流な理由|ICT化も徐々に進んでいる

建設業界でFAXが主流な理由|ICT化も徐々に進んでいる

FAXというものを知らない世代もいるくらい、ほとんど使用している会社や個人の方はいないです。固定電話すら持たない世代が多くなってきており、ますますFAXというものは無くなっていく傾向にあります。しかし、建設業界ではいまだにFAXを使用しているところが多いです。その理由や、今後どのように建設業界での通信技術が移り変わっていくかをご紹介いたします。


FAXでやり取りする内容とそのメリット

建設業界では、全ての内容を電話とFAXを用いて連絡を行なっている業者が多くいます。どのようなやりとりを行なっているかというと、

・図面
・見積書
・日時の連絡
などになります。では、これらの連絡をなぜFAXを使っているのかをご紹介いたします。

図面

施工図や設計の仕様書などをFAXで共有します。他の業界であれば、メールでのファイル添付や、クラウド共有を行えば良いのでは?と思うかもしれません。しかし、建設業界ではFAXを使用します。

理由は、現場で印刷したものを使用するためです。メールできてもそれをいちいち印刷して管理するのは面倒で、最初から印刷されてくるFAXの方が便利なのです。また、図面データだけがきても不便で、その図面データの中に送信日時や送信者、その他情報が1枚にまとまっている方が管理もしやすく、間違いも起きにくいです。

IT化したツールを使えない職人が多いというのもありますが、業務としてはFAXを利用した方が便利なことは間違いありません。そのためIT化が遅れている、中途半端にIT化すると逆に不便になると言えます。

見積書

見積書は、手書きのものをやり取りすることも多いです。なぜなら現場を確認しながら数量を拾っていきます。その際にわざわざPCを開いて入力するということは邪魔になるのでしません。手書きの見積もりを取引先にそのまま転送できるFAXは非常に便利なのです。

見積書を発注している側にとってもFAXの方が便利な場合もあります。案件ごとに複数の業者から見積もりが届きます。その際に、メールなどでデータが来ても、どれがどれだかわからなくなり結局印刷して、案件に応じてファイルごとにまとめているといった業務をしているところもあります。

つまりFAXでそのまま手書きのものを送り、それをそのまま管理していた方が楽なのです。もしこれがメール添付のデータになると、手書きの見積もりをエクセルファイルなどに入力し、それをメール添付します。受け取った側も、添付されたファイルを印刷してアナログのファイルにまとめます。IT化した方が業務が遅くなるのがわかると思います。

日時の連絡

現場で作業する日などが決定した場合、FAXでやり取りをします。電話だけで連絡した際に、お互いに勘違いをしていることもありますので、このように書面で残すことにしています。このような連絡はメールで行うところもありますが、他の連絡をFAXで行なっているため統一してFAXを使用しているところが多い印象です。

日付や現場の住所なども一緒に記載されているため、現場まで車で持参している職人が多いです。メールなどで日時の連絡が来るよりも、このように書面で所持している方が便利です。

建設業界のIT化の遅れ

建設業界は特にIT化が遅れていると言われていますが、以上のFAXを使用している例で見たように中途半端なIT化は逆に業務効率が悪くなります。そのためIT化が遅れているというより、業務が効率化しないためIT化を導入してこなかったとも言えます。

メールを使用したり、エクセルを使用することは、実はアナログ作業が増えるということです。手書きのものをデータ化するためにメール、エクセルに文字を打つことは非常に手間です。FAXではこれらの作業が一切不要です。

そこで、建設業界の業務に則したIT化というものが進んできています。

ICT化への移行が進んできている

ITはコンピュータ関連の技術の総称です。ICTというのは情報伝達技術のことを言い、建設業界ではこのICT技術の導入が進んできています。

ICT(Information and Communication Technology)は、SNSやチャットツールなどを含み、IT技術を利用した情報伝達を目的とした技術を言います。電子カルテやオンライン授業などもこれに含まれます。

ICT技術の例:施工管理アプリ

建設業界の業務にはこのICT技術が非常に有効であり、業務効率化のために導入が急速に広まっています。いままでFAXを用いていたメリットよりも、こちらの方が早く業務が進行します。

施工管理アプリが分かりやすい例になります。これは工事案件ごとに複数の業者が情報を一度に共有できるものです。例えば図面では、このアプリにその図面を格納すれば、どの案件のどの図面かが一目でわかるようになります。見積書も手書きのものを写真を撮って、それをそのアプリにアップするだけで良いです。施工日程についても、スケジュールの共有、突然の変更もチャットで行うことができます。

このようにFAXで行っていたメリットに加え、FAX番号をいちいち入力してという作業が不必要になります。これからはICT化が積極的に進み劇的に業務が効率化することが予想されます。しかし導入にはコストもかかるため普及はまだ緩やかなようです。




※この記事はリバイバル記事です。

関連するキーワード


建設 IT ICT

関連する投稿


【高需要】建設業界の人手不足は慢性的になっている!?それでも年収が低い、不人気の理由について

【高需要】建設業界の人手不足は慢性的になっている!?それでも年収が低い、不人気の理由について

 建設業界は人手不足が慢性的となっています。住宅は減っているなど言われていますが、建設業全体で見ると仕事量が減っているということはないのです。戸建て住宅がなければマンションの建設、維持管理は建設業者が行います。新築住宅がなくても、リフォームの需要があります。そのため建設業全体で見ると人材は常に必要とされているのです。しかしそれでも年収が低い職種があったり、不人気な理由はどうしてなのでしょうか。


最新の投稿


【今さら聞けない】事務に必須の「印鑑」まとめ

【今さら聞けない】事務に必須の「印鑑」まとめ

住宅会社の事務に限らず、どこの事務でも印鑑を使用します。社内文書だけでなく、社外との取引関係で契約書、見積書、様々な場面で使用されます。印鑑は法的な効力がありますが、どの印鑑をいつ使えば良いのか、なぜその印鑑を使うのかについて知らないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、会社で使う印鑑の種類や、どの場面で使用すれば良いかについてご紹介いたします。


【体験談】住宅会社の事務職はツラいよ?良いところ辛いところ

【体験談】住宅会社の事務職はツラいよ?良いところ辛いところ

住宅会社の事務員として、実際に働いた感想としては、普通の会社の事務より辛かったです。住宅会社は建設業界であり、建設業の仕事は非常に専門的で、なかなか難しいと言えます。ただ、事務員のスキルが高い女性は少なく、それでいて事務の求人は多いため、スキルを身につければ職に困らないとも言えます。体験した内容から少しでも皆様の参考になれば幸いです。


住宅会社における事務職の種類(総合・技術・営業)

住宅会社における事務職の種類(総合・技術・営業)

事務職はどの会社でも必要な業務を担う重要な仕事です。事務がいることで他の実務が円滑に進みます。住宅会社での事務は、実は様々な業務があります。住宅工事がとても複雑であるだけでなく、営業、施工外注、不動産など様々な業者、お客様とやりとりをするため、連絡だけでも煩雑になります。住宅会社での事務はどのような仕事を行なっているのでしょうか?この記事では大きく3つに分けてご紹介いたします。


【おすすめ資格5選】住宅会社の事務員に役立つ資格はどれ?

【おすすめ資格5選】住宅会社の事務員に役立つ資格はどれ?

事務員が有能であれば、仕事も非常に捗ります。住宅会社の事務としてレベルアップを図りたいという方も多いと思います。しかしただ建築士の免許を取っても、設計士や施工管理技士になるわけではないため、あまり実務では必要とされないかもしれません。そこで、事務として取得してレベルアップになる資格についてご紹介いたします。


住宅設計士は現場を知らない!?迷惑な設計士にならない方法

住宅設計士は現場を知らない!?迷惑な設計士にならない方法

住宅設計士は、建築士の資格も持ち、住宅建築の専門家です。しかし、実態としては工事現場の状況や、具体的のどのように工事が進んでいくのかをほとんど理解していない設計士も多いです。設計士は設計が仕事であって、現場見学を何日も行ったり、積極的に現場にくる方というのは少ないです。現場は、現場監督や職人が管理するもので、設計士は行く必要がないと考えている人が多いです。ただ、このような設計士は一般的に現場では迷惑で嫌われます。このような嫌われる特徴、そうならないためにどのような仕事をすれば良いのかをご紹介いたします。