戸建て住宅着工戸数は短期的には増加傾向
1990年には167万戸、2008年にはリーマンショックで77.5万戸まで減少し、2019年には88万戸と推移しています。1990年から半分程度まで着工戸数は減少していますが、リーマンショックからは短期的に見れば増加しています。2019年は前年比3.4%の着工戸数の増加で4年連続増加しています。不景気から徐々に買い控えていた層が景気回復につれて住宅を購入をしているようです。
2020年、コロナの影響で住宅着工戸数は大きく減少
2020年は新型コロナウイルスの影響で住宅着工戸数は73万戸程度と予想されており、2008年のリーマンショックの頃よりも減少する見込みです。リーマンショックよりも経済ダメージを与えている指標にもなります。また、コロナの影響は終息するまでに時間がかかり、住宅ローンを組むことなど今後の経済状況が見えにくい中で住宅を購入することを控える心理状況が続いていることも伺えます。そのためコロナが終息しても住宅着工戸数は急激に増えることはなく、緩やかに上昇していくと想定されます。
マンションと戸建ての需要関係(マンション価格の高騰について)
マンション価格が高騰していることから戸建て住宅の需要が減っているとの見方もあります。しかし戸建て住宅の着工戸数は徐々に増えていることからマンション価格の高騰が与える影響は少ないようです。住宅価格の平均単価はほぼ横ばいで、購入している客層が変化していないと考えられます。一方でマンション価格が高騰していることは、購入層が富裕層であると言えます。マンション価格は2012年から平均単価1.5倍まで上がっています。首都圏などの高級タワーマンションなどの需要が高まったことが要因として考えられます。
■マンション価格の高騰主な3つの理由
1.地価の上昇
リーマンショックから経済の回復に伴い、地価が上昇し続けています。また、首都圏においてこう立地の場所に商業ビルやビジネスビルを建築するよりもマンションを建てるのが増えています。そのためマンションを建てる場所の地価が平均として上昇しているためマンション価格も高くなっています。
2.マンションの高付加価値の提供
いわゆる高級マンションの需要が高まったことにより、単価が高くなっています。一昔前は家族が購入する戸建て住宅と同じくらいの価格帯でのマンションが多く供給されていました。しかし単身者でも富裕層が高級マンションを購入し始めたため、価格が高騰するようになったようです。億ションなどと言われる物件を購入することがステータスのようにも扱われ、富裕層の資産形成でも人気となっています。
3.地方の人口減少
地方の人口減少により、地方にはマンションが必然的に少なくなります。つまり地価の高い首都圏などに建設数が増えるため、マンション価格も高くなっていると言えます。地方は土地も余っているため戸建て住宅を購入する需要の方が高いようです。
住宅営業マンは減らない!
近年の住宅着工戸数はほぼ横ばいといえ、年間70~100万戸の間をここ数年は推移すると考えられます。リーマンショックまでに多くの不動産屋などが倒産し、ほとんど住宅業界は淘汰されてしまい、これから住宅業界が大きく衰退する可能性は低いと考えられます。これから住宅営業として転職を考えている方でも、これから市場規模が大きく増減することはないと考え転職して良いでしょう。*新型コロナの影響で一時的に住宅着工戸数は減少していますが、2021年からは徐々に回復傾向ですので、現在採用活動を行なっている住宅企業であればそこまで心配はいらないでしょう。
まとめ
戸建て住宅着工戸数は短期的には増加傾向にあります。人口減少などを考えると減少しているのではないかと考えている方も多かったのではないでしょうか。新型コロナにより一時的に着工戸数は減少しますが、これからは徐々に回復していくと考えられますので転職にそこまで不安になる必要はないでしょう。マンションの方が価格が高騰し需要が高まっているように一見考えられますが、住宅着工戸数は2019年まで連続上昇しているため戸建て住宅の需要がマンションよりも低いわけではないようです。あくまで富裕層によるマンション価格の引き上げが要因なようです。このように住宅営業マンの需要はここ数年は減らないと考えられますので、そこまで不安にならずに転職を考えられるかと思います。
※この記事はリバイバル記事です。