ブロック塀は、外部と敷地の間の境界上に設置することが一般的です。
そのため、ブロック塀が倒壊すると歩行者に被害が及ぶ可能性があり、また地震発生時には実際に重大な事故も発生しています。
よって、ブロック塀には十分な強度が必要とされており、建築基準法にも規定が設けられています。
また、建築基準法の規定が守られていないブロック塀は、危険性が高いものと捉えられるため、適切につくり替えることが重要です。
そこで本記事では、ブロック塀の建築基準法のおもな内容について解説したいと思います。
ブロック塀の建築基準法とは
ブロック塀とは、複数のコンクリートブロックを積み上げ、鉄筋とモルタルを用いて一体化する塀のことです。
ブロック塀は、大地震が起こるたびに倒壊による事故が発生した経緯から、1981年の改正建築基準法で大きな規制強化が行われています。
建築基準法におけるブロック塀の規定について、以下に解説いたします。
■ブロック塀の高さ
・高さは2.2m以下
ブロック塀の高さは、地面から2.2m以下とする規定があります。
一般的なコンクリートブロックは、高さが19cmであるため、12段以上積み上げられているものは危険性が高いと判断します。
■ブロック塀の厚さ
・壁の厚さは15 cm以上(高さ2m以下の場合は10 cm以上)
ブロック塀の厚さは、高さ2m以下の場合は10 cm以上、高さ2~2.2mの場合は15 cm以上を確保する規定があります。
■ブロック塀の控え壁
・高さが1.2mを超える場合、長さ3.4m以下ごとに高さの5分の1以上突出した控え壁を設ける
ブロック塀の高さが1.2mを超える場合、長さ3.4m以下の間隔で、高さの1/5以上突出させて控え壁を設けなければならない規定があります。
控え壁を設置していない、あるいは設置していても長さが3.4mを超えている場合は危険性が高いと判断できます。
■ブロック塀の基礎
・高さが1.2mを超える場合、基礎の丈は35cm以上、基礎の根入れ深さは30cm以上
ブロック塀の高さが1.2mを超える場合、丈が35cm以上の基礎を、根入れ深さを30cm以上確保して設けなければならない規定があります。
また、このときの基礎は、形状を逆T形やL形にすることで、転倒方向への抵抗力を高められます。
■ブロック塀の鉄筋
・直径9mm以上の鉄筋を使用し、縦横80cm以下の間隔で配置
ブロック塀の鉄筋は、直径9mm以上のものを使い、縦横80cm以下の間隔で配置しなくてはならない規定があります。
また、この他にも、配筋は壁頂と基礎には横方向に、壁の端部と隅角部には縦方向に必ず入れなければならないことなども定められています。
既存のブロック塀の危険性について
現在、新設されるブロック塀は、基本的に建築基準法の規定に沿ってつくられることになります。
ところが、建築基準法が改正される以前につくられたブロック塀はまだ多く残っており、それらのうち危険性の高いものは適切な安全対策を講じることが必要とされています。
危険性の高い既存のブロック塀とは、建築基準法の規定が守られていないもの、そして著しく劣化が進行しているものです。
著しく劣化が進行しているブロック塀は、おもに以下のような症状が見られます。
- ひび割れがある
- 傾きやぐらつきがある
- 鉄筋が錆びている(錆び汁が確認できる)
これら症状が見られる場合は今後も悪化することが予想され、万が一の大地震のときには、揺れに耐えられず倒壊してしまうかもしれません。
補強などを設けて一時的に対処することも可能ですが、できるだけ早期につくり替えることを検討する必要があるでしょう。
ブロック塀の寿命について
ブロック塀は、建築基準法の規定通りにつくることで30年を超える寿命が期待できるとされています。
しかし、規定が守られていても、劣化を放置した場合はもっと早く使えなくなる可能性があります。
そのため、定期的なメンテナンスを施しながら強度を保つことが重要なのです。
建築基準法の規定を守ることはもちろんのこと、完成後も適切にメンテナンスを行うことがブロック塀の寿命を守るポイントとなります。
まとめ
ブロック塀は、外部からの視線の遮断や第三者の侵入防止など、重要な機能を担っています。
とはいえ、安全につくられたものでなければ意味がありません。
また、既存のブロック塀で危険なものは補助金を利用して撤去できる場合があるため、コストを抑えてつくり替えることも可能です。