住宅の天敵「シロアリ」の効果的な対策とは?

住宅の天敵「シロアリ」の効果的な対策とは?

住宅建築において、完成後には多くのリスクが考えられますが、「シロアリ」の被害もそのひとつです。 そのため、法律にも必要な措置を講じることが定められており、また、多くの住宅会社では新築工事で防蟻処理が施されています。 では、住宅の「シロアリ」リスクとは具体的にどのようなことが考えられるでしょうか? また、効果的な対策にはどのような方法があるのでしょうか? そこで本記事では、住宅で発生する「シロアリ」のリスクとその対策について解説したいと思います。


住宅建築において、完成後には多くのリスクが考えられますが、「シロアリ」の被害もそのひとつです。
そのため、法律にも必要な措置を講じることが定められており、また、多くの住宅会社では新築工事で防蟻処理が施されています。

では、住宅の「シロアリ」リスクとは具体的にどのようなことが考えられるでしょうか?
また、効果的な対策にはどのような方法があるのでしょうか?

そこで本記事では、住宅で発生する「シロアリ」のリスクとその対策について解説したいと思います。

住宅に発生する「シロアリ」について

住宅に発生するシロアリは、蟻(あり)という名前が付けられていますが、実はゴキブリの仲間です。
その種類は2000以上といわれており、なかでも日本国内で建物に被害を与えるシロアリといえば以下の3種類となります。

  • ヤマトシロアリ
  • イエシロアリ
  • アメリカカンザイシロアリ

ヤマトシロアリ

ヤマトシロアリは、寒冷地を除く国内でよく見られる種類であり、被害の多くはこの種類によるものです。
4~6月になる頃に群飛が見られるため、この時期に建物の周囲でヤマトシロアリを確認したときは注意しておく必要があります。

イエシロアリ

イエシロアリは、本州の海岸沿いや四国、九州などで見られる種類であり、ヤマトシロアリよりも被害が大きくなる傾向にあります。
6~7月になる頃に群飛が見られ、夜になると灯りに群がる習性があります。

アメリカカンザイシロアリ

アメリカカンザイシロアリは、その名の通り家具や建材などの乾材(カンザイ)をおもに食害する種類であり、もともと日本には存在しなかった外来種です。
近年、国内の各地で見つかっており、被害も拡大傾向にある種類であるため、今後も十分な注意が必要となります。

住宅の「シロアリ」リスクについて

住宅でシロアリが発生すると、床下の木材や土台、柱などを侵食するようになります。
侵食が進んで症状が悪化すると、建具の建付け悪くなったり、突然床が抜け落ちたりすることなども起こる場合があります。

万が一、建物を支える重要な構造部分にまで及ぶと、耐震性は低下するため、万が一の地震発生時には建物を支えることができなくなるかもしれません。

また、住宅は、多くの人にとって一生に一度の大きな買い物であり、シロアリの被害により精神的なダメージを受けることも重大なリスクといえるでしょう。

住宅の「シロアリ」対策とは

日本国内で建築される住宅で最も多いのは、木造となっています。
木造住宅は、とくにシロアリの被害を受けやすいことから、建築基準法でも予防に関する規定が設けられています。

建築基準法施行令 第49条
木造の外壁のうち、鉄網モルタル塗その他軸組が腐りやすい構造である部分の下地には、防水紙その他これに類するものを使用しなければならない。
2
構造耐力上主要な部分である柱、筋かい及び土台のうち、地面から一メートル以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じて、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない。

以上のように、地面から1m以内の部分について、防腐措置を講じ、そして必要に応じて防蟻の措置を講じることが定められています。
「必要に応じて」とありますが、多くの住宅会社では何らかの防蟻処理が行われています。

薬剤処理について

多くの新築住宅では、薬剤を用いて防蟻処理を行います。
防蟻処理を行うのは、土壌や土台、柱などですが、おもに地面から1m以内の部分に対して薬剤を噴霧します。

しかし、現在一般的に使用される薬剤は、その効果が5年程度となっているため、確実に安全を確保するには5年ごとのメンテナンスが必要です。
また、その他にも、柱は土台へ薬剤を加圧注入する方法もあり、新築のときに処理しておくと非常に長期間の効果が期待できます。

こまめに点検できることが重要

シロアリは、防蟻処理により確実に予防できるとは限りません。
しかし、早期に発見できれば被害の拡大を防げることから、こまめに床下などが点検できるようにしておくことが重要になります。
そして、点検できるようにするとは、床面に点検口を設け、床下へ入れるようにすることです。

通常であれば目にすることのない床下も点検口から潜り込んで点検できるようになり、また潜らない場合でも、照明を当てて視界に入る範囲を確認するだけで一定の効果は期待できます。

また、外部についても、基礎の立ち上がり部分をいつでも確認できるよう、ものを置かないことが重要です。
なぜなら、シロアリが発生すると蟻道をつくりますが、死角となるところが生じた場合、発見できない可能性があるためです。

シロアリに対する意識を高め、こまめな点検ができるようにしておくことが、被害を防ぐうえで最も重要なポイントとなります。

まとめ

シロアリは、とくに木造住宅にとっては大きなリスクとなります。
住宅会社ごとに対策の内容は異なりますが、何らかの処理を施していることが一般的です。
また、防蟻処理は新築時だけでなく、定期的なメンテナンスが必要となることも知っておくとよいでしょう。

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