建築の世界は男性の多い業界です。そんな中で、女性ならではの細やかな配慮やアドバイスによって、営業成績を上げている方もいらっしゃいます。住宅営業の世界で働き、結果を出し続けている下原さんはおっしゃいます。
「女性だからこそ提案できる事が、住宅営業には本当に多いと思う」
仕事は若い内は男女の差はあまりない
大学を卒業して、中堅のハウスメーカーに就職した下原さん。日々先輩のノウハウを学びつつ、様々なお客様とお会いした中で感じていたことは「常にお客様の方が全てにおいて経験値が上だ」という事でした。
会社に入り、営業トークや不動産購入などの知識を学んでも、お客様の方が年上の方ばかりで知識も経験も豊富。逆に教わる事の方が多いくらいでした。同期入社の男性たちも同様で、この頃はとにかく学ぶことで必死だったそうです。
「新卒や若い頃は知識も経験も少ないので、男性だろうが女性だろうが関係ありませんね。知識も経験もないから戦力にもなりませんし。毎日仕事を覚えると同時に、社会の習いも覚えていかなければならない。営業職は世の中を学ぶことがとても大切ですから」
毎日学ぶことが多く、仕事をしていたという実感はこの頃には全く感じられなかったそうです。
結婚を機に退職。実際に体験する住まいでのアレコレ
お付き合いをしていた男性と結婚することになった下原さん。同時に妊娠と出産のため、ハウスメーカーを退職する事になりました。
「結婚することは私の夢の1つでした。幸せな家庭を築くことを彼と2人で話していましたから、仕事を辞める事に後悔はありませんでした」
下原さんは家庭に入り数年が経った頃、出産、子育て、家事をこなしていく内に、住まいの不便な部分を実際に体験する事に。住宅営業として、これまでお客様に紹介してきた家の良さや設備などが、展示場やカタログだけの知識であった事に痛感したそうです
「家庭に入ったことで、キッチンにこんな感じだったら便利だとか、リビングがもっと家族にとって落ち着ける空間だったらといった希望や願望を強く持つようになりました」
「また、小さな子供が安全に過ごせる配慮や、自分たち夫婦が年齢を重ねた時に、現在の住まいで安心して過ごせるかといった事をずっと考えるようになりました」
子供の手が離れて住宅営業に復職。
数年後、子供が中学生になり、あまり手が掛からなくなった事で住宅営業の仕事に復職した下原さん。地方のハウスビルダーの住宅営業として入社しましたが、周りは男性社員ばかりでした。契約件数を挙げてなんぼという雰囲気の中、孤軍奮闘する下村さんをお客様の一言が下村さんのやる気に火をつけたそうです。
「下村さんが進めてくれるキッチンやインテリアは本当にオシャレで使い勝手が良さそう」
家を建てる時に、ほとんどの男性は外観へのこだわりや、自身の趣味の部屋には真剣に検討するけれども、毎日の様に利用するリビングや水回りには関心が薄く、その点においては女性の方が圧倒的に決定権を持っていることが多い事に気づいたそうです。
「こんな時にはほとんどの場合女性の一押しで契約に結びつく事が多いです。そのためには、普段の生活や家事で便利なものや、ちょっと気の利いたものをお勧めするようにしています。またリビングや部屋の内装も、子供がいるご家庭なら優しい感じにといった様に、女性目線でご提案するととても喜ばれますね」
実際に、契約件数も入社 2年目でトップになり、他の男性社員からの「女性の細やかな気配りと実体験に基づいたアドバイスには勝てない」と言われているそうです。
自分の実体験が役に立ち実感できる
建築業界は、男性が多く女性は少ない状況です。小さな工務店や地方のハウスビルダーの住宅営業も、最近は女性が増えている傾向にありますがまだまだ少ないのが現状です。
「男性だから女性だからという訳ではありませんが、女性ならではの視点や考えをお客様にアドバイスすることは、住宅営業で本当にプラスになります。それに、家事や子育てで体験した事を住まいづくりにご提案することも、実体験なので自信を持ってご提案できますね」と、下原さんはおっしゃいました。
他の仕事では、女性が復職できたとしてもなかなか結果を出すことが難しい社会ですが、営業職という結果がハッキリと出やすい業種の中で、女性の視点や、家事や育児といった経験が生かせる職業は住宅営業がぴったりかもしれません。
今後も家事と仕事を両立させようと頑張っている下原さん。「住宅営業は割と時間も取りやすいので、しっかりと時間管理と顧客管理ができれば自由な時間も作れますよ」と、話してくれました。
積極的に子育て支援に取り組んでいる、ハウスメーカーや工務店も多くなってきており、女性にとって働きやすい仕事として環境が整ってきています。転職や就職を考えている方で、女性ならではの視点が生かせる仕事として、住宅営業に注目してみてはいかがでしょうか?